幸せなシニア以降の人生のために

クローゼットや趣味の部屋に 独立した子どもの部屋を有効活用しよう

住まいのこれから

子どもが独立したり夫が定年になったりすると、夫婦のライフスタイルにもさまざまな変化が生じます。子どもが独立したら、来たる老後に備えてライフスタイルを住まいから考え直してみてはいかがでしょうか。

【執筆者】矢口ミカ

子どもが独立すると子ども部屋として使っていたスペースが空いてしまいます。この空き部屋をどのように有効活用していけばよいのか、迷われる方も多いのではないでしょうか。

この記事では、子どもが独立した後の空いた部屋を上手く活用する方法を紹介すると同時に、住まいをコンパクトにする「減築」について解説します。
夫婦2人となった住まいをどのように生まれ変わらせられるのか、一緒に考えていきましょう。

シニア以降の居住ニーズ

子どもが独立したり夫が定年になったりすると、夫婦のライフスタイルにもさまざまな変化が生じます。

ファミリー世帯は、40代半ばから徐々に夫婦世帯に移行

平成27年の国勢調査(※1)からは、子どもの独立は40代から徐々に始まることが推測できます。自身の介護や見守りを理由に再び子どもと同居するようになるまでの、おおよそ20~30年は、同居する子どもはどんどん家を離れ、夫婦二人の世帯へと移行することになります。

子どもの独立は住まいの環境を変えるきっかけとなる

上述のとおり、40代からは結婚や就職で子どもが親元から独立をするケースが多くなっていきます。こうして世帯人数が減ることで子ども部屋が空き部屋になることは、夫婦2人の生活を見直すきっかけにもなると言えそうです。加えて、いままでかかっていた教育費の負担がなくなることによる経済面の余裕もまた、住まいに変化を起こす要因になりそうです。

子ども部屋に新たな役割を持たせましょう

空いた子ども部屋の有効活用法として考えられるのが、ほかの用途への転用です。ここでは、大がかりなリフォームをしなくても活用できる例をいくつかご紹介します。

1.ワークスペースに変える

まずは、書斎やテレワーク専用の部屋など仕事場にする方法です。新型コロナウイルスによって在宅勤務が進み、「自宅内にワークスペースを確保したい」というニーズは高まっています。
パソコンや書類を扱うことが多い方、会議やミーティングの多い方は特に、専用の作業場所があると便利でしょう。定まったスペースがあれば仕事に集中でき、作業もはかどります。朝出したものを夕方片づけるという手間もなくなるため、オンオフの切り替えもしっかりできます。家庭内の雑音も軽減されるなど、仕事に取り組むための最適な環境を整えられるでしょう。

2.クローゼットルームにする

空いた子ども部屋をクローゼットルームにする方法もおすすめです。家族の衣類などの収納を1カ所に集中すると、日頃の収納管理がラクになります。
ハンガーパイプを取り付けたり、ユニットキャビネットを使用して壁に収納棚を造作したりするのもよいでしょう。収納ケースは透明タイプにすると中身が分かりやすくて便利です。

3.趣味の部屋にする

生活を楽しむ方法のひとつとして趣味の部屋にするのはいかがでしょう。手芸などハンドメイド好きな人は作業専用場所にするのもおすすめです。個人的なスペースなので、製作途中でもそのままの状態にしておけます。
本格的なホームシアタールームやギターなど楽器練習室にする場合は、防音設備を備えて近隣に迷惑をかけないようにしましょう。

4.ゲストルームにする

子ども部屋をそのままゲストルームとして使用するのもよいアイデアです。親戚や友人が泊まりに来た際にゲストルームがあると、ホテルの一室にいるかのようにゆったりと過ごせます。
結婚した子どもが里帰りする、孫が泊まりがけで遊びに来るときの部屋としても便利です。

5.ホームジム

健康のためのホームジムにするのもおすすめです。ヨガマットやバランスボール、ウェイトトレーニング用のダンベルなどを置いておけば、自宅で気軽にからだを鍛えられます。
自宅なら感染症の心配をせずに、気持ちよく汗をかけます。人目を気にしなくてもよいので、全身が映る大きな鏡を設置してフォームを確認するのもよいですね。

子どもが独立した後のリフォーム例

子どもの独立をきっかけに夫婦2人の暮らしに合った間取りに変更することもおすすめです。ここでは、リフォーム事例をご紹介します。

2部屋を1部屋につなげて部屋を広くする

使わなくなった子ども部屋と隣接する部屋の壁を取り払い、ひとつの広い部屋とするのも一案です。納戸と子ども部屋をひとつにして書斎兼寝室に、子ども部屋とリビングが隣接している場合は、リビングとして取り込むなど、現在の間取りをベースにこれから生活を送るうえで、最適な方法を考えてみましょう。
壁を取り払うと風通しや採光がよくなり、明るく開放的な部屋へと生まれ変わります。

減築という選択肢も

基本的に、子どもの独立後は住居スペースを増やす必要がありません。むしろ、これを機会に「減築する」という選択肢も出てきます。実際のところ、年齢が高くなるにつれ「自身や配偶者のリタイア」「家族の身体が不自由になる」「家の管理に手が回らない」が、減築の理由として挙がっています。

国土交通省「減築による地域性を継承した住宅・住環境の整備に関する研究(2011年3月)|P55 Q8 「減築の動機」(MA)と C2「 世帯主の年齢」(SA)のクロス集計」の情報を基に作図

減築によって得られる主なメリットは下記のとおりです。

  • 掃除など家事の手間が省ける
  • 家の中の移動が楽になる
  • バリアフリー化を実現できる
  • 維持管理の負担の軽減
  • 固定資産税を減らせる
  • 光熱費を削減できる
  • 通風や採光が確保できる

家族構成の変化に合わせて間取り変更をすると、老後になっても自宅で快適に住むことができます。

こちらは子ども部屋のあった2階を減築して平屋にし、生活動線を整えたものです。リフォームと合わせてバリアフリー化や家の断熱化をしておくと老後も安心して住めるようになります。

まとめ

今回は、子どもが独立したあとの住まいについて詳しく解説しました。

年を重ねても自分らしさを大切にしながら安心して生活できる環境を整えたいものです。子どもが独立したら、来たる老後に備えてライフスタイルを住まいから考え直してみてはいかがでしょうか。

※総務省統計局「平成27年国勢調査(平成29年9月27日)| 図Ⅱ-3 配偶関係,年齢(5歳階級),男女別子と「同居している」者の割合」
http://www.stat.go.jp/data/kokusei/2015/kekka/kihon3/pdf/gaiyou.pdf

執筆者

矢口ミカ

フリーランスの不動産ライター・宅地建物取引士

複数のメディアで執筆中です。宅建の資格を活かし、家族が所有する投資用不動産の入居者管理もしています。住まいに関する資格である整理収納アドバイザー1級、福祉住環境コーディネーター2級も取得済みです。趣味は整理収納と料理。