補助金などを活用してわが家を省エネに

我が家を省エネ住宅にリフォームしよう! 活用できる補助金と税金の優遇措置は?

住まいのこれから

省エネリフォームは、住宅の断熱性能を高めるだけでなく、身体にも負担をかけない快適な環境での暮らしを実現してくれます。ご自宅を省エネリフォームする際には「補助金制度や税の優遇措置」を賢く利用して、家族も地球もよろこぶ家づくりを実践してみてはいかがでしょうか。

【執筆者】矢口ミカ

日本のCO2排出量のうち、住まいからは16%を占めているといわれています。(※1)これは、住まいのエネルギー消費を減らせば、CO2削減に貢献できるとも言い換えられるでしょう。

そのために検討したいのが、現在の住まいを省エネ住宅に変えるリフォームです。とはいえ、環境負荷を下げるためだけにお金をかけてリフォームする人はそうそういないはず。しかし、これまで暮らしてきた住まい以上に家族全員が快適かつ健康に暮らせるようになり、家計にもやさしくなるとしたら、少し興味がわいてきませんか?

この記事では省エネ住宅の基本をお伝えするとともに、リフォーム時に利用できる補助金や税の優遇措置について解説します。予算別にできる省エネリフォームもご紹介しますので、これから省エネ住宅で快適に暮らすことを検討している方はぜひ、参考になさってください。

既築住宅の断熱化は、差し迫った課題

日本の家庭による消費エネルギーは1973年度を100とすると、2018年度は185.6と大きく増加しています。(※2) そのため、家庭が消費するエネルギー量を削減するべく、新築住宅対策として2020年に省エネ基準適合への義務化が始まりました。
ここでは、日本の住宅における断熱材の概要を簡単に解説します。

1.約4割が断熱材のない家

日本の住宅の断熱材の導入は、進んでいるとは言えません。下図2を参照すると、断熱材が入っていない住宅は約4割を占めています。

国土交通省「既存住宅ストックの現状について 住宅ストック約5,000万戸の断熱性能|P17 住宅ストックの性能(断熱性)」の情報を基に作図

省エネルギー基準は住宅金融公庫の融資条件などにも適用され、住宅の価値を勘案する材料の一つとなっています。

2.快適さだけでなく健康にも良い影響

環境省の調査(※5)によると、「住み心地が良くない理由トップ3」に下記が挙がるそうです。これらの原因はすべて断熱材の性能が低いことから引き起こされています。

住み心地が良くない理由トップ3

  1. 夏は涼しくない 50.5%
  2. 冬は暖かくない 47.6%
  3. 窓ガラスの結露がある 32.1%

問題はただ単に「快適か不快か?」「寒さや暑さに不満があるか?」という話だけではありません。実は、住まいの環境は「健康」にも大きな影響を与えています。近年の調査では、「断熱性能が高い家に住むとアレルギー疾患が少なくなる」「部屋間の温度差が激しいと血圧変動に良くない影響を与える」といったことが明らかになっており、昨今は家の中で熱中症になり、救急搬送される人も多く見られています。

3.断熱性能を向上させることは「省エネ住宅」の基本

省エネ住宅に必要不可欠なものは、ズバリ「断熱材」です。断熱性・気密性を高めることによって「最小限のエネルギーで、冬暖かく夏涼しく」という快適かつエコな環境で過ごせるようになります。
現在の住まいをリフォームする場合は、断熱材の性能を高めることを何より真っ先に考えるとよいでしょう。そのうえで、その他に工夫できることを考え、その次の対策として省エネ設備機器を設置するという流れをとると、最適な省エネリフォームが実現できます。

予算別リフォーム方法

省エネリフォームをしたいと考えていても、気になるのは予算ではないでしょうか。ここでは、予算に合わせた省エネリフォームの内容についてご紹介します。

1.【予算50万円】部分リフォーム

予算が50万円の場合は、もっとも効果を感じられる窓をリフォームしましょう。二重窓は特に効果が高いと言えます。家族が長い時間を過ごす部屋を優先的に選ぶとよいでしょう。また、断熱ブラインドであれば50万円の予算で家中すべてに設置するのも不可能ではありません。
次に検討したいのが、天井や床下、壁の断熱です。天井にはグラスウール、床下や壁には断熱材を入れていきます。50万円なら6畳間で2室程度行えます。(※3)

2.【予算200~300万円】部分リフォーム

予算が200~300万円の場合は、浴室などの水まわりのほか、寝室、リビングなど長い時間を過ごす場所を重点的に行うとよいでしょう。温度差が引き起こす健康被害のナンバーワンは浴室でのヒートショックです。冬の寒い洗面室で服を脱ぎ、浴室で裸になって熱い湯船に浸かると血圧が急降下する場合があり、最悪の場合、死にいたるおそれがあります。こうした事態を起こさないためにも、水回りの改良は優先して行いたいものです。

浴室は一般的な在来工法では断熱しにくいため、ユニットバスに取り替えることをおすすめします。洗面室の壁をはがして、断熱材が内側に接着されたプラスターボードで貼り直すのも効果的です。

窓は現在の窓の上から施工できるタイプであれば、比較的安価かつ短期で行えます。樹脂製窓の複層ガラスなら断熱性能が高くなります。樹脂はアルミよりに熱を伝えにくいので結露がしにくいのも良い点です。

3.【予算500~700万円】全体リフォーム

500~700万円の予算があるのなら、家全体を断熱材でくるむことを検討してみましょう。30~40坪程度の2階建ての家であれば、予算内で行えます。家全体を断熱リフォームすれば、新築並みの性能にすることも可能です。

断熱リフォームで活用できる補助金と税の優遇措置

省エネ住宅にリフォームするにあたって、さまざまな補助金制度や税の優遇措置が用意されています。

1.国の補助金制度

国による住宅の省エネ・省CO2化リフォームの補助金制度は毎年度実施されています。下記は令和3年度の情報をまとめたものであり、今後変更される場合もあります。原則、公募期間内に事業者を通じて、申請手続きをとります。詳細は、リフォーム業者にご確認ください。

サステナブル建築物等先導事業

管轄省庁 国土交通省

補助額

上限125万円/戸かつ、掛かり増し費用1/2以内

公募期間

Ⅰ期 公募終了

Ⅱ期 令和3年4月26日月)~令和3年7月30日(金)

Ⅲ期 令和3年8月2日(月)~令和3年10月29日(金)

採択時期

Ⅱ期 令和3年10月中旬頃6月下旬

Ⅲ期 令和4年1月中旬頃

 

地域型住宅グリーン化事業

管轄省庁 国土交通省

補助額

・上限140万円/戸(施工経験4戸以上の事業者は上限125万円/戸)

・掛かり増し費用1/2以内

※地域材の活用により上限20万円加算

※三世代同居加算限度額:上限30万円加算

※若者・子育て世帯加算限度額:上限30万円加算

公募期間

【終了】令和3年4月1日(木)~5月10日(月)

採択時期

令和3年6月10日(木)を予定

 

次世代ZEH+実証事業

管轄省庁 経済産業省

補助額

105万円/戸

※燃料電池導入の場合、2万円加算などオプションあり

公募期間

一次:令和3年年5月17日~令和3年8月20日(先着順)

二次:令和3年8月27日~令和3年11月19日(先着順)

 

ZEH、ZEH+

管轄省庁 環境省

補助額

・ZEH 60万円/戸

・ZEH+ 105万円/戸

 ※いずれも加算オプションあり

公募期間

一次:令和3年5月6日~令和3年6月18日(先着順)

二次:令和3年7月5日~令和3年8月20日(先着順)

三次:令和3年8月30日~令和3年9月24日(先着順)

経済産業省 資源エネルギー庁省エネルギー課、国土交通省 住宅局住宅生産課、環境省 地球環境局地球温暖化対策課「令和3年度3省連携事業ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス推進に向けた取り組み」の情報を基に作表

2.税の優遇措置

省エネリフォームをすると税の優遇措置も受けられます。「投資型」「ローン型減税」「住宅ローン減税」のいずれかを選択制することになります。

所得税の投資型減税(住宅ローンの借入れの有無にかかわらず利用可能)

控除期間 1年(改修工事を完了した日の属する年分)

控除金額

上限250万円の10%

適用期限

令和3年12月31日

国土交通省「省エネ改修に係る所得税額の特別控除(投資型減税)」 の情報を基に作表

 

所得税のローン型減税(5年以上の住宅ローンが対象)

控除期間 5年(改修後、居住を開始した年から)

控除金額

・一定の省エネ改修工事ローン限度額は250万円で控除率2%

・増改築等工事全体のローン限度額は1,000万円で控除率2%

適用期限

令和3年12月31日

国土交通省「省エネ改修に係る所得税額(ローン型減税・住宅ローン減税)の特別控除」の情報を基に作表

 

所得税の住宅ローン減税(10年以上の住宅ローンが対象)

控除期間 10年間(改修後、居住を開始した年から)

控除金額

ローン限度額は4,000万円で控除率は1%

国土交通省「省エネ改修に係る所得税額(ローン型減税・住宅ローン減税)の特別控除」の情報を基に作表

まとめ

省エネリフォームは、住宅の断熱性能を高めるだけでなく、身体にも負担をかけない快適な環境での暮らしを実現してくれます。省エネに貢献することで光熱費も削減できるので家計にやさしいのもメリットです。
ご自宅を省エネリフォームする際には「補助金制度や税の優遇措置」を賢く利用して、家族も地球もよろこぶ家づくりを実践してみてはいかがでしょうか。

※1 環境省「住まいのCO2排出量・エネルギー消費量」
http://ondankataisaku.env.go.jp/coolchoice/kaikae/housing/

※2 資源エネルギー庁ウェブサイト「省エネって何? | 家庭向け省エネ関連情報 | 省エネポータルサイト」
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/general/what/

※3 環境省「持ち家戸建ての部分リフォーム(予算50万円)」
https://ondankataisaku.env.go.jp/coolchoice/jutaku/report/details/report2_03.html

執筆者

矢口ミカ

フリーランスの不動産ライター・宅地建物取引士

複数のメディアで執筆中です。宅建の資格を活かし、家族が所有する投資用不動産の入居者管理もしています。住まいに関する資格である整理収納アドバイザー1級、福祉住環境コーディネーター2級も取得済みです。趣味は整理収納と料理。