補助金と減税で経済的なメリットも 解説「長期優良住宅」

住まいのこれから

長期優良住宅は何世代にもわたって住み続けられるように、構造躯体や耐震性、維持管理のしやすさなどの点で厳しい認定基準をクリアした住宅です。住宅を新築・増改築する予定のある方は、国の補助金制度や減税制度を活用し、メリットも性能も高い住まいにすることをぜひ検討してみてはいかがでしょうか。

【執筆者】矢口ミカ

日本は人口減少にともなう少子高齢化が進んでいます。かたや、世界に目を向ければ地球環境問題が深刻さを増しています。こうしたことから、私たちは今後の暮らしについてさまざまな視点から考える必要があります。
質の高い住宅を建ててきちんと維持管理し、長く住めるようにすることもそのひとつ。数世代にわたって暮らせる住宅は、イチから建て直すよりも建材コストや人的労力を抑えられますし、省エネをはじめとする環境配慮設備を取り入れることで、温暖化防止にも貢献できます。

今回は、こうした「長期優良住宅」を建てる際に活用できる補助金や税制面での優遇措置を詳しく解説します。
"長く住める家"を検討している方は、ぜひ参考になさってください。

長期優良住宅とは

「長期優良住宅」とは、長期にわたり良好な状態で使用するために必要な措置が講じられている住宅を指します。平成28年4月より、新築だけでなく増改築を行う場合にも認定を取得できるようになりました。(※1)
認定の基準は下記の4つです。

1.長期に使用するための構造および設備を有していること

長期に使用するためには「劣化対策」が重要です。数世代にわたって躯体が使用できる構造であることが認定条件のひとつです。地震発生時の損傷レベルを低くするため、耐震性も重要なポイントです。また、水道管などの設備配管は、維持管理(点検・清掃など)が簡単に行えなくてはなりません。必要な断熱性能が備わっているなど、省エネルギー性も必須です。(※2)

2.居住環境等への配慮を行っていること

良好な景観の形成とこれらの維持・向上に配慮されていることも必要です。

3.一定面積以上の住戸面積を有していること

住戸面積は良好な居住水準を満たす規模でなければなりません。

4.維持保全の期間、方法を定めていること

建築時から将来を見据えて、定期的に補修するなど維持保全計画がなされていることも求められています。(※3)

長期優良住宅は平成21年から施行され、認定戸数が平成30年度には100万件を突破しています。年間でおおよそ10万戸ずつ右肩上がりに推移しており、新築戸建て住宅の4戸に1戸が認定を取得しています。

国土交通省資料「長期優良住宅建築等計画の認定実績(平成31年3月末時点)

長期優良住宅の補助金

長期優良住宅にはさまざまなメリットがあるうえ国からの補助金を受けられます。令和3年度においては、下記の事業が対象です。

令和3年度「長期優良住宅化リフォーム推進事業」

対象事業

以下の項目を満たす戸建住宅または共同住宅のリフォーム工事

  • インスペクションを実施し、維持保全計画・履歴を作成すること
  • 工事後に耐震性と劣化対策、省エネルギー性が確保されていること

補助対象費用

  • 性能向上リフォーム工事に要する費用
  • 子育て世帯向け改修工事に要する費用
  • インスペクション、維持保全計画・履歴作成に要する費用 等

補助率
補助限度額

  • 補助率:補助対象費用の3分の1
  • 補助限度額:原則100万円/戸

国土交通省プレスリリース「令和3年度「長期優良住宅化リフォーム推進事業」の募集を開始します!」を参考に筆者作成

詳細は「長期優良住宅化リフォーム事業」のウェブサイトをご覧ください。加えて、補助金の申請が可能かどうかは相談されているリフォーム業者にご確認ください。

減税制度

長期優良住宅は減税のメリットもあります。新築と増改築に分けて簡単に解説していきます。

1.新築の認定にかかる税の特例措置

長期優良住宅の住宅ローン減税は、一般住宅より拡充されています。平成23年以降、一般住宅よりも借入限度額が1,000万円高く設定されています。

国土交通省資料「長期優良住宅に対する税の特例」を基に作表

この特例を受ける主な要件として、下記が設定されています。

  • その者が主として居住の用に供する家屋であること
  • 住宅の引渡しまたは工事完了から6カ月以内に居住すること
  • 床面積が50㎡以上あること
  • 店舗等併用住宅の場合は、床面積の2分の1以上が居住用であること
  • 借入金の償還期間が10年以上あること
  • 合計所得金額が3,000万円以下であること

要件を満たす人は、確定申告時に以下の書類を税務署に提出することで控除が受けられます。

  • 明細書
  • 残高証明書
  • 登記事項証明書
  • 請負契約書または売買契約書の写し
  • 長期優良住宅認定通知書
  • 住宅用家屋証明書または認定長期優良住宅建築証明書

このほか、税金に関する制度として下記が挙げられます。

  • 投資減税型の特別控除(平成21年6月4日~令和3年12月31日までに入居した人が対象)
  • 登録免許税の引き下げ(令和4年3月31日までに取得した人が対象)
  • 不動産取得税の控除額を増額(令和4年3月31日までに新築された住宅が対象)
  • 固定資産税の減額措置の適用期間を延長(令和4年3月31日までに新築された住宅が対象)

2.増築・改築の認定にかかる税の特例措置

長期優良住宅の所得税減税制度は、新築だけでなく増改築にも適用されます。これは、一定規模の耐震改修リフォームまたは省エネ改修工事を、長期優良住宅化リフォームとあわせて行った場合に、工事費相当額の10%をその年の所得税額から控除されるものです。適用期限は、平成29年4月1日~令和3年12月31日となっています。

適用を受けるための主な要件は新築と同様です。税務署に提出する必要書類は下記となっています。

  • 明細書
  • 増改築等工事証明書
  • 登記事項証明書等(床面積が50㎡以上であることを明らかにする書類)
  • 長期優良住宅の認定通知書の写し

詳しくは、国土交通省の資料をご覧ください。

まとめ

今回は、長期優良住宅の補助金や減税制度について解説しました。

長期優良住宅は何世代にもわたって住み続けられるように、構造躯体や耐震性、維持管理のしやすさなどの点で厳しい認定基準をクリアした住宅です。新築や増改築ともに補助金や各種減税制度が受けられ、経済的にメリットがあります。

将来的に住宅市場は既存住宅が成熟していく様相です。適切にメンテナンスを行っている住宅の資産価値は高まることになります。

住宅を新築・増改築する予定のある方は、国の補助金制度や減税制度を活用し、メリットも性能も高い住まいにすることをぜひ検討してみてはいかがでしょうか。

※1 一般社団法人 住宅性能評価・表示協会「長期優良住宅とは」
https://www.hyoukakyoukai.or.jp/chouki/info.html

※2・3 一般社団法人 住宅性能評価・表示協会「長期優良住宅認定制度の技術基準の概要について|P3 長期優良住宅新築の認定基準〔概要〕」
https://www.hyoukakyoukai.or.jp/download/pdf/chouki_sin_2020_2.pdf

執筆者

矢口ミカ

フリーランスの不動産ライター・宅地建物取引士

複数のメディアで執筆中です。宅建の資格を活かし、家族が所有する投資用不動産の入居者管理もしています。住まいに関する資格である整理収納アドバイザー1級、福祉住環境コーディネーター2級も取得済みです。趣味は整理収納と料理。