ゲストに自慢できる玄関リフォーム 機能性も備えるためのポイントとは

住まいのこれから

玄関は、その住まいのイメージを最初に印象付ける大切な場所です。バリアフリー化や日常的な機能を充実させつつ、少しの演出を加えるだけで余裕のある住まいの印象を与えることができます。

【ライタープロフィール】松野雄二

玄関は来客を迎え入れる場所であり、住まいの印象を決める空間であり、家族が日常的にひんぱんに利用する場所でもあります。そのため、人を迎え入れるための演出と日常的にストレスなく使える機能を両立させることが大切です。

今回は、玄関をリフォームするにあたって気を付けたいポイントを解説していきます。

住まいの顔としての玄関

近年、都市化の進行や家族構成の変化により、コンパクトな住まいが多くなってきました。

かつては格式のある玄関をつくる住まいが多くありましたが、現代は最低限の面積でつくられることが増えています。しかし、玄関は"住まいの顔"であり、家に帰ってきた時の安心感を得られる場所でもあるので、ゆとりのある設えとしたいところです。

ところで、玄関のリフォームは、実際どの程度行われているのでしょうか。意外にも、水まわりやリビング、外壁などの修繕に次いで多くリフォームされている場所が玄関です。当初は最低限のスペースとしていた玄関も、物が増えて使いづらくなったり、年を重ねることで段差がつらくなったりと、支障が出ることもあります。こうした理由から、収納を充実させたり、バリアフリー化や断熱化を行ったりといったリフォームが行われています。

国土交通省住宅局「平成29年度 住宅市場動向調査報告書|P223リフォームの部位」の情報を基に作図

住まいの印象を決める玄関扉

玄関扉を変えると、住まいの印象を大きく変えることができます。外観は、扉の素材によって印象が左右されるので、住まいのテイストに合った素材を選択することが大切です。

玄関扉で使われる主な素材は、鉄と木です。鉄製であればモダンに、木製であれば温かみのある雰囲気となります。なお、木製の場合は塗装の塗り直しなど、定期的にメンテナンスを行うことが大切です。木の経年変化が気になる場合は、木目調のプリントが施された鉄製の扉をお使いになるとよいでしょう。

玄関扉には開き戸と引き戸の2種類があり、それぞれにメリットとデメリットがあります。
開き戸は、気密性をしっかりと確保することができますが、扉を開く軌道上に人が立つことができないので、扉の前に十分なスペースを確保しておく必要があります。

その点、引き戸は扉の前後に人が立てるので、雨の日に車から物を取り込む場合など、便利に使えます。その一方、気密性は開き戸よりも確保しづらいので、仕様を十分に検討することが大切です。
扉や扉付近に縦長の細い窓を設けたり、通気用の網戸を組み合わせたりすると、光や風を玄関まわりに取り込むことができます。

引用)住友林業のリフォーム「戸建てリフォーム 玄関

必要な物をしまえる機能

玄関まわりには靴や傘だけでなく、意外に多くの物を置くことになります。
物の量は世帯ごとに差がありますが、普段の生活をイメージして、必要な物を必要な量だけしまえる収納を確保できれば、雑多にならず、すっきりとした玄関を実現できます。
たとえば、玄関先の掃除用具や庭の園芸用品、長靴など、屋外で使う物はまとめて収納できると、汚れを室内に持ち込むことなく出し入れができます。小さい子どものいる子育て世帯の場合は、ベビーカーや三輪車、もう少し大きくなるとバットやボールなどの置き場所があると便利です。

また、出かける前や帰ってきた際にあると便利なのが、姿見用の鏡やコート掛けです。コート掛けはいくつか設置しておくと来客時にも対応できます。

玄関は荷物の受け取りを行う場所でもあります。そのため、印鑑や筆記用具、鍵などの小物を収納できると日常的に便利に使えます。

引用)住友林業のリフォーム「リフォーム事例

シューズクロークや納戸と組み合わせる

靴やスリッパの数が多い、子どもの遊具が場所を取る、といった場合、玄関の収納だけでは面積が足りなくなることも考えられます。こうした場合は、収納用の部屋として、シューズクロークや納戸などを玄関に連続して設けると、ゆとりを生むことができます。

この収納部屋は、日常的には玄関と一体して使えるようにしつつも、扉を設けて目隠しできるようにもしておくと便利です。収納部屋が雑多な状態であっても、来客時は扉を閉めることですっきりとした印象を保つことができます。

引用)住友林業のリフォーム「リフォーム事例

清掃のしやすい素材を使う

玄関は泥や雨水など、汚れを持ち込みやすい場所ですので、清掃のしやすさも考えておきたいポイントのひとつです。
床材で使われる白や明るい色のタイルは清潔感がある一方、汚れが目立ちやすいのが難点です。グレーや黒など、暗めの色を用いることで汚れを目立ちにくくできます。こうした場合は窓を設けて光を取り込むなど、玄関の印象が暗くならないように工夫するとよいでしょう。

最近では床をモルタルとする住まいも多くなってきました。モルタルは、タイルのように目地がないため清掃がしやすい素材です。ただし、経年によって小さなひび割れが入ることも多く、気になる場合は注意が必要です。
なお、玄関に汚れを持ち込まない工夫として、アプローチを舗装する等行うことも、ひとつの方法です。

引用)住友林業のリフォーム「リフォーム事例

生活感を抑え、余裕のある工夫を

機能面と合わせて考えたいのが、来客を迎え入れる場所としての設えです。
飾り棚の設置、絵を飾ることができる壁、壁の中に窪みを設けるなど、小さくても季節感のある物を飾れる場所があると、生活感が薄まり、余裕のある空間を演出できます。

造り付けのベンチもおすすめです。靴の脱ぎ履きに使える一方、飾り棚としても役立ち、機能面と意匠面を両立できます。

引用)住友林業のリフォーム「戸建てリフォーム 玄関

土間を使った多用途な玄関

古民家のリフォームでは、玄関を兼ねた広めの土間を設ける場合もあります。
土間は玄関としての機能だけでなく、来客時におしゃべりをする場所として、子どもの遊び場として、テーブルとイスを置いた"自宅カフェ"として――というように、さまざまな使い方ができるのがメリットです。
テラスや庭、アプローチ空間と連続して設けると、屋内外がつながり、広がりのある住まいとすることができます。

引用)住友林業のリフォーム「リフォーム事例

バリアフリーにも考慮する

これまでは支障のなかった玄関の段差なども、年齢を重ねて体力が落ちると障害になったり使いづらくなったりすることもあります。こうした場合は段差を小さくする、スロープを設ける、手すりを設置するなどのリフォームが考えられます。

若い年齢でリフォームを行う場合であっても、将来、体力が落ちることを見越し、手すりを設置するための下地を壁に設けておく、段差を小さくしておくなどのリフォームを行うことも大切です。

まとめ

玄関は、その住まいのイメージを最初に印象付ける大切な場所です。来客とのちょっとした立ち話、荷物や回覧板の受け取り、家族の見送りや出迎え、出掛ける前の身だしなみのチェックなど、時間によってさまざまな使い方が想定されます。何よりも家族が「家に帰ってきた」と安どし、気持ちを切り替える空間でもあります。

バリアフリー化や日常的な機能を充実させつつ、少しの演出を加えるだけで余裕のある住まいの印象を与えることができます。
家族の普段の行動、来客があった際の行動、自身や親が将来的に高齢化した際のことなど、さまざまなシーンを想定したリフォームを行うことが最も大切である、と言えるでしょう。

ライタープロフィール

松野雄二

一級建築士

建築設計事務所で公共建築、商業施設、住宅等を担当し、独立。現在、住宅・リノベーション・店舗などの設計監理を行っている。