健康のために。断熱リフォームを徹底解説

日差しを調整してエコな家に 光熱費をお得に浮かして日差しをコントロールするお手軽リフォームとは

住まいのこれから

日本では古くから、庇や植栽、障子やすだれといった、さまざまな工夫により日差しをコントロールする方法が用いられてきました。日差しを調整する方法は敷地や建物の方角、周辺の建物の状況により適切な方法がそれぞれ異なってきます。住まいの状況や予算に合った方法を考え、選択することが大切です。

【ライタープロフィール】松野雄二

住まいの快適性や省エネ化を図るために断熱リフォームを行う場合、壁や床の断熱性能に加えて大切になるのが日差しの活かし方です。夏の日差し、冬の日差しをそれぞれうまく活かせるかどうかで住まいの快適性は大きく変わってきます。

そこで今回は、リフォームでも使える日差しのコントロール方法について解説していきます。

日差しの活かし方で住まいの快適性が変わる

日本の住まいでは日差しの入りやすい南側にリビングを配置することが一般的ですが、単に日差しを取り込むだけでは明るく快適な住まいになりません。季節に応じて日差しを遮蔽したり取り込んだりと、切り替えのできる住まいとすることが大切です。

日差しの取り込み方によって冷暖房の負荷は大きく変わってきます。夏はブラインドやカーテンなどで日差しを遮蔽するほど冷房の負荷は小さくなりますが、逆に冬は日差しを取り込まなければ暖房負荷が大きくなってしまいます。

このように、うまく冷暖房の負荷を抑えて住まいの省エネ化を実現するためには、季節に応じて日差しのエネルギーをコントロールする必要があります。

夏に日差しを遮り、冬に日差しを取り込む庇

引用)住友林業のリフォーム「リフォーム事例

日本の住まいで、古くから日差しをコントロールする存在として用いられてきたのが窓の上の庇(ひさし)です。

南の日差しが差し込む角度は季節によって異なり、日本の場合、夏至の南中時は約80度、冬至の南中時は約30度です。このような季節による日差しの角度の違いを生かしたのが庇なのです。

夏の日差しは庇によって遮蔽し、冬の日差しは室内に取り込むことができます。南の日差しをコントロールするためには、窓の高さの3分の1程度の長さの庇を出すことが必要です。例えば高さ2m程度のリビングの窓であれば、外壁からおよそ70㎝程度の長さが目安になります。

西日対策にも使えるルーバー

敷地が狭い都市部では庇をつけることが難しい場合もあります。そのような場合に有効なのがルーバーです。ルーバーとは、窓の外に固定して取り付ける細長い板材のことです。
ルーバーの角度や長さを調整することで、庇と同じように夏は日差しを遮蔽し、冬は取り込む効果を得ることができます。
庇ほど窓の外のスペースを必要とせず、また目隠しにもなるため、都市部の住まいに適した方法と言えます。

なお、南からの日差しをコントロールしたい場合は、横型(水平型)のルーバーが、夏の強い西日をしっかり遮蔽し、日差しによる不快な気温上昇を防ぐには、縦型(垂直型)のルーバーが有効です。西面の日差しをカットするように板の角度を傾けることで、光は取り入れつつも強い日差し熱を遮蔽することができます。

日差しをコントロールする植栽

建物と合わせて考えたいのが、庭の植栽による日差しコントロールです。緑による日差しの調整も古くから日本で行われてきた方法のひとつと言えます。窓の前に樹木があると影をつくり、日差しを遮る役割を果たしてくれます。その際注意したいのが樹木の種類です。

建物の南側に樹木を配する場合は、冬に葉が落ちる落葉樹を採用することが有効です。
夏は樹木が日差しを遮りますが、冬は葉がなくなることで暖かな日差しを室内に取り込むことができます。

引用)住友林業のリフォーム「リフォーム事例

ガラスによる遮熱

リフォームを行う場合は、窓ガラスを変えることでも遮熱や日差しの取り込みを期待できます。たとえば、熱線反射ガラスはガラスにコーティングされた金属膜により、日差しを反射し遮熱効果があります。逆に熱線吸収ガラスを用いれば、冬の日差しで室内を暖めることができます。こうしたガラスを複層ガラスの一方に用いることで日差しを調整することができます。
また、複層ガラスの性能を向上させた「Low-E複層ガラス(2枚のガラスのうち1枚にLow-E膜と呼ばれるコーディングを行った複層ガラス)」も最近の住宅では断熱用として一般的に用いられています。ガラスのコーディング面を室外側に使用することで、遮熱効果が期待できます。

このようにガラスによって日差しをコントロールしたい場合は、その窓に遮熱効果が必要なのか、室内に日差しを取り込みたいのかを考え、適切なガラスを選択することが大切です。

取付位置により効果が変わるブラインドやロールスクリーン

庇やルーバーなど、建物に固定する物に限らず、ブラインドやロールスクリーン、障子といった可変的なスクリーンで日差しをコントロールすることも大切です。
これらのスクリーンは室内の窓際に取り付けることが多いですが、実は屋外に取り付ける方が遮蔽する効果は大きくなります。

国土交通省「開口部の日差し取得性能および断熱性能の評価方法に関する調査|P8 日差し熱取得率の測定」を基に筆者作成

屋内に取り付ける場合、室内に入ってきた日差し熱を遮蔽しますが、屋外につけると、室内に入る手前で日差し熱を遮蔽します。そのため、より日差し熱による気温上昇を抑えることができるのです。

外付け用のブラインドやロールスクリーンはいくつかの製品が販売されています。ぜひ1度検討してみるとよいでしょう。
ちなみに、外付けブラインドと同じ効果があるのが、すだれやよしずです。窓の外につる性の植物を用いてつくるグリーンカーテンも同様に、屋外側で日差しを遮蔽することができます。
こうした方法は季節に応じて簡単に取外しができるので、より気軽に対策を行えます。

室内を均一に明るくできる北面の高窓

間取りを考える際、最も日当たりのよい南面が重視され、北側は比較的明るさが必要ない水まわりなどを配置することが一般的です。しかし、実は北面の光も活かし方次第で、大きな効果があります。

北面からは直射日光が入らないぶん、1日を通して安定したやわらかな光を取り入れることができます。そのため、北面に高窓を設けると、室内全体を均一に明るくすることができるのです。

間取りの工夫により北面の窓も効果的に用いることで、より快適な室内空間を得ることができます。

まとめ

日本では古くから、庇や植栽、障子やすだれといった、さまざまな工夫により日差しをコントロールする方法が用いられてきました。しかし、冷暖房設備の機能の進化や都市化により、こういった方法が新築住宅で用いられることが少なくなっています。その結果、エネルギー消費の大きい住まいや設備に頼った住まいが多く見られるようにもなりました。

一方で、住まいの省エネ化や断熱性能の見直しを行う人が多くなっている昨今では、再びこうした方法が見直されています。現在では、ルーバーや外付けブラインド、ロールスクリーンといった製品も数多く販売されるようになり、住まいの場所や状況に応じ、日差しをさまざまな方法でコントロールできるようになっています。

日差しを調整する方法は敷地や建物の方角、周辺の建物の状況により適切な方法がそれぞれ異なってきます。リフォームによって日差しを調整したい場合は、住まいの状況や予算に合った方法を考え、選択することが大切であると言えるでしょう。

※1 国土交通省「住宅における日差し遮蔽及び日差し取得性能の評価指標の開発|P5 図7「日差し取得性能が冷暖房負荷に与える影響」
https://www.mlit.go.jp/chosahokoku/h25giken/program/kadai/pdf/ippan/kankyo_04.pdf

ライタープロフィール

松野雄二

一級建築士

建築設計事務所で公共建築、商業施設、住宅等を担当し、独立。現在、住宅・リノベーション・店舗などの設計監理を行っている。