共稼ぎ夫婦の住宅購入 ローンの組み方のおすすめは?

お金・資産のこれから

夫婦で協力し合って住宅ローンを返済するというのは、共同でローンを組むことに限られません。組んだローンを無理なく返済できるように夫婦で家計を支え合うのが「協力し合って住宅ローンを返済する」ということでしょう。

コロナ禍でステイホームやテレワークが普及し、より快適な住宅の購入ニーズが高まっています。しかし、気になるのが住宅ローンの組み方。共働きの世帯では、夫婦で協力してローンを組むのが良いか悩む人も多いようです。

数十年におよぶローンの返済は夫婦で協力し合って払っていくことが望まれますが、先行き不透明な時代ですから慎重に検討することが大切です。

本記事では、夫婦共同で住宅ローンを組むことのメリットやデメリットとともに、夫婦で住宅ローンを組む方法などについて説明します。

夫婦共同で住宅ローンを組むことのメリット・デメリット

住宅ローンはひとりではなく、夫婦2人で組むことも可能ですが、どちらにしても高額かつ長期の返済負担が必要になるものです。そのため、住宅ローンの組み方は慎重に考えることが大切です。まずは夫婦共同で住宅ローンを組むことの一般的なメリット・デメリットについて知っておきましょう。

住宅ローンを夫婦共同で組むメリットとして、大きく2つ挙げられます。一つ目は、ひとりでローンを組むよりも大きな金額の借入れが可能になることです。住宅ローンで「いくら借入れできるか」を決められる基準の一つはローン申込み者の収入です。そのため、夫婦の収入を合算することで、借入可能となる上限額もより高くなる可能性があります。

もう一つは、ローンの組み方にもよりますが、夫婦それぞれが住宅ローン控除を受けられることです。住宅ローン控除は年末時点のローン残高の1%(40万円限度)を所得税から差し引けるというものですが、支払う所得税(引き切れない場合は翌年の住民税)を超えて差し引くことはできません。控除可能額と所得税・住民税の関係によっては、ひとりでローンを組むよりもローンを2つに分けて組むほうが税金から控除できる額が多くなる場合もあります。

デメリットについても知っておきましょう。夫婦それぞれに債務ができますから、長期間にわたって返済していけるよう収入を維持・確保し続けることが必要です。そのため、出産、育児、介護などライフプランに変化が起きても時短勤務や転職・退職など、働き方を変えることが難しくなります。

2人で住宅ローンを組む方法は?

具体的に、夫婦2人で住宅ローンを組む場合にどのような方法があるのか見ていきましょう。

ペアローン

ペアローンとは、夫婦で一緒に申込み、同じ金融機関から別々にローンを借りる方法です。それぞれが各自のローンの主債務者になると同時に、夫は妻の、妻は夫の連帯保証人になります。

メリットとしては、別のローンであるため、金利タイプや返済期間、ボーナス時返済の有無などを別々に設定することが可能になることが挙げられます。借入額はそれぞれの住宅持ち分にしたがいますが、たとえば夫は固定金利+ボーナス返済あり、妻が変動金利でボーナス返済なし、というような組み方も可能です。遠い先の金利情勢は予測しづらいものですが、夫婦で違えておくことで金利情勢の変化にも対応しやすくなるかもしれません。一方、ローン契約が2つになりますから、事務手数料や諸経費といったコストも2契約分かかるデメリットもあります。

収入合算「連帯保証型」

収入合算は、夫婦の収入を合算して借入れ審査を受けますが、住宅ローンの申込み・契約自体は夫婦のどちらか一方が行う方法です。もう一方は連帯保証人になります。前述したように、二人分の収入を合算することで借入れ額を増やすことができたり、審査に通りやすくなったりするのは大きなメリットです。さらには、収入合算ではローン契約がひとつであるため、事務手数料や諸経費は1契約分だけで済むこともメリットと言えるでしょう。
しかし、金融機関によっては合算者の収入を全額合算することはできず、50%までとする場合もあります。たとえば夫の年収400万円、妻300万円の場合、全額を合算できれば700万円として審査が行われますが、50%なら夫婦の収入を合算しても550万円(妻が合算者の場合)となってしまいます。申込む前に必ず確認しておきましょう。

収入合算「連帯債務型」

夫婦の一方が住宅ローンを申込み、もう一方の収入を合算して借入れを受ける仕組みやメリットは、「連帯保証型」と同様ですが、「連帯債務型」の場合、夫婦のもう一方は連帯債務者となります。
連帯債務者とは「主たる債務者と連帯してローンの返済をする人」のこと。ひとつのローンに対する共同責任を持ち、主たる債務者と連帯債務者のどちらもがそのローンの支払い義務を丸々負うことになります(※1)。
ちなみに、連帯債務型は住宅金融公庫の「フラット35」で取扱いされており(※2)、先に見た連帯保証型は民間金融機関独自の住宅ローンでよく取扱いされています。

ペアローンと収入合算、どちらがいいの?

ペアローンと収入合算のどちらがよいのかは夫婦の収入や世帯の資産状況、将来の資産形成に対する必要性や考え方などによって異なります。どちらがよいのかを考えるときには、団信や住宅ローン控除の取扱いの違いも含めて検討するようにしましょう。

ここでは民間金融機関が取り扱っているペアローンと収入合算(連帯保証型)についてまとめて紹介します。

ペアローン

収入合算
(連帯保証型)

ローンの契約数

2本

1本

住宅ローン契約者

夫と妻それぞれ

夫か妻

連帯保証人

妻と夫それぞれ

妻か夫

団信への加入

夫婦それぞれが加入

夫か妻(ローン契約者)が加入

住宅ローン控除

夫婦それぞれが利用可能

夫か妻(ローン契約者)が利用可能

主なメリット

  • 借入額を増やせる
  • 住宅ローン減税がそれぞれで受けられる
  • 夫婦各自で団信に加入できる
  • 借入額を増やせる
  • 契約時のコストが1本分ですむ

主なデメリット

契約時のコストが2本分かかる

住宅ローン控除は夫婦の一方しか使えない

筆者作成

夫婦で住宅ローンを組むときに考えておきたいこと

住宅ローンは借入額が大きく、返済期間が長期になるため、今後の収入見通しを含めてしっかりと返済計画を立てることが必要です。これはひとりで借入れする場合ももちろんですが、夫婦で住宅ローンを組む場合にはより入念にライフプランを見通すことが大切です。次のような点も考慮しながら、じっくり検討してください。

借入総額

ひとりの場合より多額の借入れをしやすくなりがちです。購入する住宅価格を上げすぎていないか、無理をしすぎていないか等、今一度チェックしてみましょう。借入額が上がるぶん、返済額も大きくなれば、将来の教育資金や老後資金の準備が難しくなるリスクがあります。

住宅持ち分

資金負担割合と持ち分が合っているか注意が必要です。資金負担割合というのは、どちらがローンを返済するかだけでなく、頭金の負担も含まれます。もしも持ち分と資金負担割合が合っていなければ贈与税が発生することも起こりえます。ペアローンでは借入額が住宅持ち分に応じることは前述しましたが、収入合算の場合はとくに注意しましょう。頭金や住宅ローンなど資金を負担した割合に矛盾が生じない割合で住宅の持ち分を登記することが大切です。

産休・育休・病欠などによる収入低減リスクにどう対応するか

産休、育休、病気になった場合など、数十年にわたる返済期間のうちには収入が低減することは男女ともに考えられます。これらのリスクにどう対応していくかもあらかじめ熟慮したうえで、ローン返済計画を立てることが必要です。

教育資金や修繕・リフォーム費用の積立てなど、家族の他の必要資金の準備はどうするか

夫婦共同でローンを組む場合、家族のライフプランで必要となる資金をどう準備するかも考える必要があります。ペアローンでは夫婦ともにローン返済することになりますが、教育資金等も夫婦それぞれが積立金を出し合うのもいいでしょう。もしくは収入合算あるいは単独ローンにして一方はローン返済、一方はその他の資金を積立てするのもいいでしょう。

最後に

夫婦で協力し合って住宅ローンを返済するというのは、共同でローンを組むことに限られません。組んだローンを無理なく返済できるように夫婦で家計を支え合うのが「協力し合って住宅ローンを返済する」ということでしょう。

今回紹介したそれぞれのメリットやデメリット、ローン計画時の注意点などを参考に、2人でベストな方法を見つけられるとよいですね。

※1 一般財団法人住宅金融普及協会「住宅ローンの用語集」
https://www.sumai-info.com/loan_kiso/word_ra.html

※2 住宅金融支援機構フラット35「収入合算」
https://www.flat35.com/loan/plan/gassan.html