老後の生活資金に困らないための基礎知識

人生100年時代を不安なく生きるために 50代からの副業で老後資産と生きがいを確保しよう

お金・資産のこれから

「副業」とは、本職とは別の仕事を持ち、収入を得ること。近年は、大手企業が副業を認めるようにもなり、若い世代だけでなく、50代・60代の方のなかにも、副業を真剣に考えだす人が増えています。今まで培ってきた強みを生かして副業にぜひチャレンジしてみてください。

【監修】Mizuho

政府が副業を促進する方向性を出してから、副業に興味を持ち始める人が多くなりました。
「副業」とは、本職とは別の仕事を持ち、収入を得ること。近年は、大手企業が副業を認めるようにもなり、若い世代だけでなく、50代・60代の方のなかにも、副業を真剣に考えだす人が増えています。
今回は、50代の副業について見ていきましょう。

「2,000万円問題」の背景と現実

1.長寿化

医療の発達や社会の変化にともない、日本人の平均寿命は年々伸びています。
金融庁のデータによると、60歳夫婦のいずれかが少なくとも95歳まで生存する割合は5割弱もあります。95歳といえば、ひと昔前ならば、相当な長生きと見られましたが、今では珍しくないことが、こちらの統計データからもわかります。

60歳の人のうち各年齢まで生存する人の割合

2015年推計 1995年推計
80歳 78.1% 67.7%
85歳 64.9% 50.0%
90歳 46.4% 30.6%
95歳 25.3% 14.1%
100歳 8.8%

金融庁「人生100年時代における資産形成 P6」の情報を基に作表

2.退職後の資産形成

50代になると、会社を退職した後のことを考える機会が増えます。年金はどのくらいもらえるのか、退職金はいくらなのか、退職後の生活費はどのくらい用意しておけば暮らせるのかなど、現実的なことを考えざるを得ません。

先ほど述べたように、日本人の寿命はどんどん伸びています。65歳で会社を退職したとしても、95歳まで生きる場合は、30年も給料なしの生活を送ることになります。結果として、年金だけで生活費をまかなうのが難しい人が多くなるでしょう。

金融庁の資料(※)によると、月25万円の生活費を支出する場合、退職金や私的年金の受給がないならば、1,000万円〜2,000万円程度の資産形成を行う必要があるとされています。

3.日本人の資産形成

「老後に年金や退職金以外の資産が必要」なのは、金融庁の資料からも明らかです。
米国では、現役時代から資産形成を継続している人が多く、金融資産は20年間で8倍になっているという統計データがあります。これに対し、日本では貯蓄率も低下傾向にあり、金融資産も2倍程度にしか増加していません。年金だけでは生活ができず、資産形成も行えていないとなれば、老後の生活資金に困るのは、かなり現実的な問題です。

金融庁「人生100年時代における資産形成 P14」の情報を基に作図

副業が求められる理由

以上のように、長寿化の進むなか、年金だけでは老後の生活費をまかなうことができない現実が、副業へのニーズを高める一つの理由になっていると考えられます。

下記の調査結果でも、副業を行う理由として半数以上が、「収入を増やしたいから」(57.3%)と回答。続いて回答率の多い「1つの仕事だけでは生活自体が営めないから」(29.0%)も、生活のために副業をしてお金を得る必要がある、と換言できるでしょう。

副業を行う理由

順位

理由

回答率

1位

収入を増やしたいから

57.3%

2位

1つの仕事だけでは生活自体が営めないから

29.0%

3位

自分が活躍できる場を広げたいから

22.8%

4位

様々な分野の人とつながりができるから

17.7%

5位

副業のほうが本当に好きな仕事だから

16.7%

独立行政法人 労働政策研究・研修機構(JILPT)「日本労働研究雑誌2017年2・3月号(No.680)|論文(投稿) 誰が副業を持っているのか?─インターネット調査を用いた副業保有の実証分析 表 2 副業保有理由間の相関係数」を基に作表

もちろん、人とのつながりを持つこと等を理由に、副業をしている人がいるのも事実です。実際、上記の表でも「自分が活躍できる場を広げたいから」(22.8%)、「様々な分野の人とつながりができるから」(17.7%)の回答率も一定数あり、なかにはボランティアに近い形で社会貢献活動に取り組み、副業としている人もいます。
しかしながら、「副業=収入の確保」と考える人の多いのが実情です。現実的に、自分はどのような副業を行えるのかを考えておきたいところです。

50代から始められる副業

50代になると、若いころとは異なり、力仕事や体力勝負の仕事は難しくなってきます。そのため、なるべくなら体力を使わなくて済むような副業を希望する方が多いのではないでしょうか。
その一方で、50代にもなれば、何らかの仕事を継続してきた方がほとんどです。若い世代に比べると、そのぶん知識や経験があります。そのため、いままで培ってきた知識や経験を生かした副業ができると、未経験の仕事より収入が安定する可能性が高いと考えられます。

1.どのような副業が望ましいか?

副業促進の方針にともない、厚生労働省は、「モデル就業規則」というものを公開しています。こちらには、副業に関することも規定されており、企業が自社の社員の副業を認めるにあたって注意しなければならない項目もまとめています。これは言い換えれば、副業を行う個人が留意すべきポイントともいえます。

  1. 労務提供上の支障がある場合
  2. 企業秘密が漏洩する場合
  3. 会社の名誉や信用を損なう行為や、信頼関係を破壊する行為がある場合
  4. 競業により、企業の利益を害する場合

これら以外にも個々の会社により就業規則の記載は異なります。副業が許されている会社であっても、自分の会社の就業規則に抵触しないかどうかを必ず確認してから副業を行うようにしましょう。

2.本業で培ったスキルを活かした副業

厚生労働省は、副業推進の動きにともない、実際に副業を行っている人の事例をウェブサイトで公開しています。
ここで紹介されている2人の50代の方は、本業に支障が出ないことに注意しつつ、副業を「これまで培ったスキルを活用する場」「今後の人生観を見据えた取り組み」とし、意欲的に活動されています。

このように、50代からの副業となれば、今までのキャリアで培ってきた知識・経験・人脈等を生かすことで、スムーズな活動を行えそうです。たとえば、エンジニアとして働く人は、ウェブサイトやアプリケーションを構築できるスキルを活かし、ウェブサイトの制作を請け負ったり、自らECサイト等を運営して収益を上げたりすることが考えられるでしょう。また、広告関係の会社に勤める人は、マーケティングの知見やインターネット広告の運用経験を活かし、これらの実務やコンサルテーションを企業に行ったり、人に教えたりすることで仕事につなげられます。
新たに何かを始めることは、気力や体力の面から難しいと感じる人もいると思いますが、今までの経験を生かした副業は、50代だからこそできるものです。

3.社会貢献を目的として副業を始める人も

経済面から副業を始める人が多い一方、社会貢献を目的とする人もいます。今まで受けた恩を社会に還元したい、次の世代に残せるものをつくりたいなど、その理由はさまざまです。
老後の資産形成にあまり心配のない方や、社会貢献意欲の高い方は、社会に役立つことを目的に副業を行えば、これからの人生をより豊かに過ごせるのではないでしょうか。

まとめ

知識の豊富さ、人脈の広さ、長年培ったコミュニケーション能力や洞察力......50代には、若い世代とは異なる強みがたくさんあります。将来の資産形成に備えるためにも、その強みを生かした副業にぜひチャレンジしてみてください。

※金融庁:「人生100年時代における資産形成 P11」
https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/market_wg/siryou/20190412/03.pdf

監修

Mizuho

20代で弁護士資格を取得。弁護士時代、人の悩みや困っていることに寄り添い、それを解決していくことを日々経験。弁護士実務経験を経た後、「暮らしを良くする、人生を豊かなものにする」ことをコンセプトにした記事を執筆しております。