なるほど! 暮らしと住まいの知恵袋

人生経験豊富な大人だからこそ!はずかしくない文字を!今からはじめる『書道』の魅力

なるほど!暮らしと住まいの知恵袋

大人になってからの書道は楽しいものです。力強い文字。しなやかな文字。踊るような自由な文字。豊かな人生経験を生かした文字の表現を楽しんでみませんか?

【監修】伊藤璃帆子 (Rihoko ITOH)

パソコンやスマホが普及し、文字を書く機会が減っても、手紙を書く時などは、できるだけきれいな字を書きたいものです。年賀状や芳名帳(ゲストブック)は、年に数回のことですが、きれいに書かれた文字は好印象が残ります。「字は体を表す」という言葉にあるように、美しい文字が書ける人は、それだけで品格や教養が感じられます。
今さら文字を書く練習をすることに抵抗がある方がいるかもしれませんが、毎日数十分でも練習を積み重ねることで、確実に文字は上達します。ボールペンを使った練習帳や通信講座も手軽ですが、基礎からきちんと学びたい方には、やはり書道がおすすめです。
筆者は大人になってから書道を始めました。指定の日時に開放される教室に、子どもも大人も自由に出入りして、各々静かな時間を過ごして帰っていく。そういう時間のなかに豊かさを感じます。地味なお稽古事ではありますが、その奥深さは大人になってからより楽しめると実感したものです。
小学校の授業で習って以来、筆を持っていないという方も、自分の文字を見つめ直し、もう一度正しい文字の書き方を学んでみませんか。

書道の魅力とは

書道の一筆目というのは、独特の緊張感があります。筆は普段使い慣れた鉛筆やボールペンの感覚と大きく異なり、力加減が難しいものです。また、失敗した場合に消しゴムや修正液が使えないので、書き損じてしまうと手直しすることができません。そのため書道は、ひと筆ひと筆を丁寧に運び、集中して文字を書く必要があります。

集中力を養える

大人になると、普段の生活で集中する時間を作ることはなかなか難しくなります。集中力を高める方法として写経(経典を書写すること)も人気があります。もともと写経は、僧侶の修行のひとつでしたが、現在では、写経を目当てにお寺に出向く一般の人も多くいます。写経には難しい漢字も多く含まれるため、字のバランスをとるためのトレーニングにも最適です。

脳を活性化し、認知症予防になる

また、たくさんの文字を書くことは、脳の活性化にもつながるといわれています。手を動かすことによる、認知症の予防などの効果も期待できるため、指先を使った趣味を持ちたいという方にもおすすめです。

ストレス解消になる

書道はストレス解消にも有効です。疲れたとき、書道を通して自分自身と向き合う時間を作るのも効果があります。静かな環境、片づけられたテーブル、墨の香りなど、書道を始めるための静謐な環境そのものに癒やされることもあります。ストレスがたまっている時や気持ちが落ち着かない時こそ、筆をとってみてください。

その他の趣味にも大活躍

シニアから俳句や短歌を楽しむ方が増えますが、そういったときにも書道は役立ちます。素晴らしい一句を美しい文字で書けたら、自己表現の幅も広がります。

お礼状も自信を持つ

お礼状、年賀状、芳名帳、役所の手続きなど、文字を手書きする機会は思いのほか多いものです。書道では、正しい書き順はもちろん、とめ・はね・はらいなどの字の書き方、ひとつの字のバランスなどを学ぶことができます。字を書くことの基礎を身につけることで、筆を鉛筆やボールペンに持ち替えた時にも、正しく美しい文字が書けるようになります。
また、書道は、経験を積むと、自己表現ツールのひとつにもなります。元気が出る字、優しさが滲み出ている字......。書いた文字から人柄や気持ちが相手に伝われば、言葉以上のものを届けることができます。
基礎を身につけ、綺麗な字を書くことができたら、自由に自分らしい字を書くことにも挑戦できます。写真や絵画のように、日常の発見、感動をスケッチするような感覚で筆を取ることができたら、毎日がより彩り豊かなものとなります。

日本の文化に触れる尊い時間

書道を始めると、礼を学び直せるというメリットもあります。例えば、お礼状を書く時の決まり文句。必要な時にだけ調べていると、なかなか身につくことがありません。お礼状や手紙を習慣化し、集中して手書きすることで自然と言葉が出てくるようになります。そして、文字という身近な存在にも関わらず、案外学ぶ機会が少ないのがその歴史です。
日本における書道の歴史は、中国から書が伝来してきた600年代に遡ります。700年代に入り、中国から漢字と仏教が伝来すると、日本でも写経が盛んに行われるようになりました。書道は、仏教とともに一気に広まったといわれ、その後、紙や墨の製法が伝えられたことで、書道がより一般的なものとなりました。
書道では古代に書かれた書物をお手本にすることがあります。普段の生活では、古代の書美術に触れることはほとんどありません。日本や中国の書家の味わい深い字をみると、現代に続く文字の歴史が感じられ、また違う側面で興味を持つことができるのではないでしょうか。
近年では、書道は、訪日外国人や観光客にも人気のある日本の伝統文化のひとつです。海外との文化交流に興味がある方は、日本で書道を体験したいという外国人に書道を教えるボランティアなどを目指してみても良いと思います。

小筆絵画のお稽古もおすすめ

書道の基礎は若いときに習っていたという方は、小筆にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
最近は、小筆で描く絵画なども流行しており、新しい書の楽しみ方をレクチャしてくれる書絵画教室も充実しています。
水彩画、油彩などと違い、小筆は場所を取らず、テーブルの上などで手がけることができるので、手軽な趣味にもおすすめです。

書道を始める方法は?

書道は道具とお手本があれば、独学でも始めることが可能です。ただ、自分一人で始める場合は書いた文字に対してのフィードバックがないため、確実に上達したいと考える方は書道教室や通信講座を利用してみましょう。教室の場合、直接その場で先生から指導を受けることができるため、早い上達が見込めます。月謝は、教室にもよりますが、5,000円から10,000円ほどが相場です。通信講座の場合は、教室よりも比較的リーズナブルで、好きな時間に教材に取り組むことができますが、添削までに時間がかかるというデメリットがあります。
書道は、準備の手間や道具にかける費用などのハードルが低く、気軽に始めやすい趣味のひとつです。これから先、長く続ける趣味として、検討してみてはいかがでしょうか。

はじめてみようと思った方へ

大人になってからの書道は楽しいものです。
力強い文字。しなやかな文字。踊るような自由な文字。
豊かな人生経験を生かした文字の表現を楽しんでみませんか?

監修

伊藤璃帆子 (Rihoko ITOH)

美術家。東京都在住。
編集、執筆、写真撮影、イラスト、フードスタイリング等を手がける。
日常使いのアイテムをちょっと良いものに変えてみませんか。
暮らしや家事にまつわるアイデアを厳選してご紹介していきたいと思っています。