幸せなシニア以降の人生のために

認知症防止に効果あり? 親に勧めたい脳トレゲームと効果を上げるポイント

夫婦のこれから

老後が近づき、「認知症になってしまったらどうしよう」と、漠然と恐怖を抱いている方は少なくないでしょう。ですが、脳トレをはじめ、さまざまな方法で脳がよりよく機能し続けるよう働きかけていくことは可能です。第二の人生をより豊かなものにするために、ぜひ自分に合った方法で認知症防止に積極的に取り組んでいきましょう。

【監修】渡辺 有美

もの忘れや認知症の予防になると評判の「脳トレ(脳トレーニング)」。
介護施設でもレクリエーションの定番です。自ら脳トレ用のパズルや計算ドリルを購入して日々取り組んでいる方も多いのではないでしょうか。とはいえ、「種類が多過ぎて、何を選べばいいのかわからない」「そもそも脳トレって本当に認知症防止になるの?」のように、疑問を持ちながら取り組んでいる方もいること思います。

今回は、「認知症防止のための脳トレ」に注目し、脳トレは認知症予防にどのくらい効果があるのか、またどのようなメニューを選べばよいのか、わかりやすくお伝えします。

認知症防止に脳トレはどのくらい効果があるのか

脳トレは本当に認知症を予防できるのでしょうか。研究データを参考にしながら、解説していきます。

認知症になる人はどのくらい?

内閣府の資料によると、2012年には認知症の高齢者が462万人となっており、認知症になる割合は「65歳以上の高齢者の約7人に1人」でした。しかし、2025年には約5人に1人、2060年には約3人に1人が認知症になると予測されています。
これから老後を迎える世代にとっては非常に不安な数字に映ることでしょう。「認知症は決して他人ごとではない」ことを、肝に銘じておく必要がありそうです。

内閣府「平成29年版高齢社会白書(概要版)|高齢者の健康・福祉」の情報を基に作図

脳トレは認知機能低下の予防に効果あり

イギリス・エクセター大学の研究(※)では、「脳トレを定期的に行っている人ほど脳機能が向上する」とされています。この研究は、50~93歳の被験者、1万9,000人以上に対して行われました。研究を主導したアン・コーベット博士によると、日ごろからクロスワードや数独などのパズルに取り組んでいる人ほど、記憶力や注意力、推理力に向上が見られ、スピードや正確さでは、特に顕著な改善が見られた例もあったそうです。
また、定期的にこうしたパズルに取り組んでいる人は、そうではない人に比べ、短期記憶や文法的推論力の測定、問題解決の力が実年齢よりも8~10歳若いことも判明しています。
博士の話では、パズルなどの脳トレが認知症の発症リスクを軽減するとは限らないものの、定期的に取り組むことで、脳がより長く、より良く機能し続けることを示しているそうです。

脳トレをすれば絶対に認知症にならないというわけではありませんが、このデータを見るかぎり、脳トレを続けることは、認知症予防に一定の効果がありそうです。認知症を遠ざけ、年を取っても自分らしくあるために、ぜひ脳トレを上手に活用していきましょう。

こんなにある! 脳トレの種類

書店に行けば、さまざまな種類の脳トレ本が置いてあります。スマートフォンの脳トレアプリも豊富です。まずは代表的な脳トレをチェックしてみましょう。

クロスワードパズル

ヒントを頼りに縦のマスと横のマスに言葉を当てはめていくパズルです。新聞にもよく掲載されているので、1度は挑戦したことがあるのではないでしょうか。
パズルを進めていくと、すでに埋まっている言葉がほかの答えのヒントになり、芋づる式に答えが解けることもあります。

間違い探し

似ている2枚のイラストから異なる箇所=間違いを探し出すパズルです。子ども向けの簡単なものから、大人でも探すのに苦労するようなハイレベルのものまであります。

数独

ルールにのっとって9×9の計81マスのなかに数字を入れていくパズルです。基本のルールは、81マスを3×3で仕切った9マスのブロックのなかでは数字が重複しないこと、縦の列のなかでも横の列のなかでも数字が重複しないこと。
数字の配置にはかなり頭を使いますが、慣れてくると解き方のコツがつかめてきます。

その他のパズル・クイズ

日本地図やことわざを扱ったパズル、簡単な文字遊びのようなパズルなど、さまざまな種類があります。1冊に何種類ものパズルが掲載されている本なら、日替わりでいろいろなパズルやクイズに取り組むことができます。

塗り絵

このごろは、大人用の塗り絵があることをご存じでしょうか? 子ども用と違い、絵柄が複雑なため、全部を塗るのには時間も根気も必要です。ですが、手先の器用な方やセンスのある方が塗り絵をすると、額に入れて飾りたくなるような素晴らしい作品が完成します。

筆者がデイサービスで働いていた頃は、季節折々の花や、平安絵巻のような十二単をまとった姫などの塗り絵は非常に人気があり、同じ絵柄に何枚も取り組む熱心な方もいらっしゃいました。

将棋・囲碁・オセロ

将棋や囲碁、オセロなどの勝負ごとは、勝つために頭をフル回転させます。これも立派な脳トレのひとつです。定期的に仲間と集まって勝負を楽しめば、脳トレはもちろん、ストレス解消にも役立ちます。

しりとり・なぞなぞ

脳トレ用のパズルやドリルがなくても、思い立ったらすぐにできる脳トレもあります。その代表が、「しりとり」や「なぞなぞ」。家族と一緒にしりとりをしたり、なぞなぞを出し合ったりするだけでも、脳へのよい刺激になるでしょう。

何をすればいい? 脳トレ選びのポイント

数ある脳トレのメニュー。これだけ種類が豊富だと、いったいどの脳トレをすればよいのか迷ってしまう方もいるかと思います。

先ほど、アン・コーベット博士による研究の説明のなかで、脳トレは脳機能の向上が期待できることをお伝えしました。ただし、これはあくまで「定期的に」脳トレをしていた場合の話です。

脳トレは、たまの思い付きで行う程度では大きな効果は期待できません。もちろんゲーム感覚で楽しむぶんには、どのようなやり方でもOKです。ただ、認知症防止のために脳トレを行うのであれば、毎日の日課にするなど継続して取り組む意識が大切になってきます。そのため、脳トレを選ぶには、「どの脳トレが飽きずに続けられるか」「どのような方法なら長く継続できるか」という点が重要です。

張り切ってパズルを買ってきても、解くのが苦痛になるようなメニューでは長く続けられませんし、何よりやっていて楽しくありません。「自分が興味を持てる脳トレ」「やっていて楽しい脳トレ」を基準に選ぶことがポイントです。義務感で行うよりも、ワクワクしながら夢中になって取り組むほうがより集中力も増し、脳トレの効果をさらに引き上げることが期待できます。

ポイントは継続。飽きのこない工夫をしましょう

興味を持てる脳トレが最適とはいえ、毎日同じげーみやパズルばかりではさすがに飽きてしまいます。ひとつの種類ばかりやるのではなく、たまには違うパズルにも挑戦してみましょう。今日はクロスワード、明日は数独、明後日は友人と会ってオセロを楽しむなど、曜日によって変化を付けると、毎日新鮮な気分で取り組めるため長続きしやすいでしょう。

また、脳トレに限らず、いつも新しい知識に触れて日ごろから頭を使うことが認知症防止にはとても有効です。医学博士で「認知症」についての書籍を多数出版しているフレディ松川氏は、自著のなかで、次のように述べています。

「つねに新聞やテレビでニュースを知ること、また興味あるものの研究をするなど、年をとっても新しいことに、コツコツと頭を使うことが、ボケ予防になるのである。」

フレディ 松川『ここまでわかった ボケる人 ボケない人』,集英社文庫, 2002,p.248.

フレディ松川氏はまた、認知症の予防として趣味を持つことをすすめています。

「ボケた人たちを長年見てきてわかったことは、ほとんどの人が『無趣味』だということである。逆に言えば、<中略>趣味を『本格的』にやってきた人は、ボケる確率が非常に少ないと言える」

フレディ 松川『ここまでわかった ボケる人 ボケない人』,集英社文庫, 2002,p.249.

この記事でご紹介してきた脳トレもおすすめですが、より情熱をもって打ち込めるのが趣味であり、趣味を楽しむことはこころのハリや生きがいにもつながります。
若いころからずっと熱中してきたものはないか、得意なことはないか、自信を持っていることはないか、改めて自分のことを見つめ直してみましょう。

まとめ

老後が近づき、「認知症になってしまったらどうしよう」と、漠然と恐怖を抱いている方は少なくないでしょう。ですが、脳トレをはじめ、さまざまな方法で脳がよりよく機能し続けるよう働きかけていくことは可能です。

第二の人生をより豊かなものにするために、ぜひ自分に合った方法で認知症防止に積極的に取り組んでいきましょう。

※参考:UNIVERSITY OF EXETER「Regular crosswords and number puzzles linked to sharper brain in later life」
https://www.exeter.ac.uk/news/featurednews/title_716265_en.html

監修

渡辺 有美

介護やマネー関連が専門のフリーライター。

独身時代は都市銀行に勤務し、その後、結婚と子育てを経て介護の道へ。介護福祉士としてデイサービス・特養・訪問介護の現場で10年以上働いた経験を活かし、高齢者の方々の役に立つ記事を多数執筆しています。