負担が大きい自宅での排泄介助 オムツ交換を楽にしつつ清潔を保つコツとは

夫婦のこれから

オムツ交換の悩みの多くは、対策法を知ることで解消できます。介護の悩みをひとりで抱え込んでしまうと、介護者自身が健康を害してしまう恐れがあります。在宅介護の負担を軽減するために、プロと相談してよりよい方法を考えていきましょう。

【監修】渡辺 有美

在宅介護につきものなのが、排泄介助です。なかでも「オムツ交換」は、漏れなどのトラブルが起きたり、後始末に手間がかかったりするため、大変な思いをされているご家族も多いのではないでしょうか。

オムツは1日に何度も交換する必要があるうえ、漏れがあると衣類やシーツ類も替えなければならず、介護する側にとってはかなりの重労働だといえます。

今回は、オムツ交換を負担に感じている方、漏れやにおいなどのトラブルに悩んでいる方、これから介護が始まり不安に思っている方に向けて、「オムツ交換を楽にするノウハウ」をまとめました。

介護の担い手は、約7割が「家族」や「親族」

家族が要介護状態になったとき、いったい誰が介護を担うことになるのでしょうか。

内閣府の資料によると、「本人と同居している人(58.7%)」が、主な介護者です。その内訳は、「配偶者」が25.2%、「子」が21.8%、「子の配偶者」が9.7%など。別居のケースも含めると、介護者の約7割が「家族」や「親族」となっています。

内閣府「平成30年版高齢社会白書(全体版)|図1-2-2-13 要介護者から見た主な介護者の続柄」を基に作図

そして、厚生労働省の資料によると、介護を受ける人の7割以上が、「自宅で介護を受けたい」と答えています。

厚生労働省「平成 27 年度 少子高齢社会等調査検討事業報告書高齢社会に関する意識調査」図 2-2-27 を基に作図

現在は介護施設も多様化し、個々のニーズに合った施設に入居しやすくなってきたものの、やはり住み慣れた自宅で介護を受けたいと望む人は多いようです。

在宅介護となれば、外部の介護サービスを利用したとしても家族のサポートは不可欠です。食事・入浴・排泄などの身の回りのお世話に関し、介護者はある程度のノウハウを身に付けておく必要があるでしょう。

「介護で苦労したこと」トップは排泄介助

在宅介護では、本人の要介護度が高くなるほど家族が介護に費やす時間や労力も増していきます。なかでも、トイレ介助やオムツ交換などの「排泄介助」は介護者側の負荷が大きく、内閣府広報室が行ったアンケート調査でも「介護で苦労したこと」のトップに「排泄介助」が挙がっています。

介護で苦労したこと(複数回答,上位5項目)

  • 排泄(排泄時の付き添いやおむつの交換) 62.5%
  • 入浴(入浴時の付き添いや身体の洗浄) 58.3%
  • 食事(食事の準備,食事の介助) 49.1%
  • 移乗(車いすからベッド・便器・浴槽・椅子への移乗動作の介助)48.3%
  • 起居(寝返りやベッド・椅子からの立ち上がり動作の介助) 47.7%

内閣府政府広報室「『介護ロボットに関する特別世論調査』の概要」P2の情報を基に作図

トイレで用を足せる人でも、歩行がおぼつかなかったり、立ったり座ったりすると足元がよろけたりする場合は、トイレまでの往復や衣類の着脱、便座からの立ち上がりに介助が欠かせません。また、オムツ交換をする場合も、ただオムツを新しいものに替えるだけではなく、肌を清潔にしたり汚物を片付けたり、状況によっては衣類やシーツの取り替えが必要になったりするケースもあります。

家族はこうした排泄介助を日に何度も行うのですから、たとえ大切な親御さんのためであっても、ときに負担に感じてしまうのも無理はないでしょう。

オムツ交換を楽にするコツ

オムツ交換の負担を少しでも減らすために、日ごろから家族にできる工夫をご紹介します。

事前準備をしっかり

オムツ交換に必要な備品は、セットにしてベッド脇に用意しておくと、いざという時に慌てずに済みます。
ベッドの近くに専用の置き場を作り、オムツ類、使い捨て手袋、トイレットペーパー、おしりふき、洗浄液、陰洗ボトル(お湯を入れてシャワーのように使用する福祉用具)などをまとめておくと便利です。

「紙オムツ+尿取りバッド」が基本

オムツは基本的に尿取りパッドとセットで使いましょう。漏れがなければパッドの交換だけで済むため、手間が省ける、ゴミが減る、紙オムツの節約になるなどのメリットがあります。
パッドは種類によって吸収量が異なります。あらかじめ何種類かのパッドを用意しておき、状況によって使い分けましょう。夜間や外出時は吸収量の多いパッドを使用すれば、漏れの防止に役立ちます。

定期的にトイレの声かけを

介助があれば立ち上がりや歩行が可能な人、座った姿勢を保てる人の場合、トイレでの排泄が可能です。定期的に声かけをしてトイレに誘導してみましょう。トイレを使うことで、陰部を洗浄したり汚物を片づけたりする工程を省くことができます。
また、トイレで用を足すことは、本人の心理的負担を軽くする意味でも非常に意義のあることです。ぜひ朝や夜、食事の前など、タイミングをみてトイレに誘ってみましょう。

オムツからの漏れを防ぐには?

オムツ交換で多いトラブルが、オムツからの「漏れ」です。尿や便が漏れてしまうと着替えや洗濯の手間が増えてしまいますし、漏れに気づかず衣類の汚れた状態が長く続くと、皮膚トラブルを起こしてしまう危険もあります。漏れを防ぐには、どのような点に気を付ければよいのでしょうか。

オムツのサイズに注意

オムツは、からだに合ったサイズを使用するのが基本です。からだに対して大き過ぎるオムツは隙間が生じて漏れやすくなり、小さ過ぎるオムツは皮膚を圧迫するほか、吸収量が足りず尿が漏れ出してしまう心配があります。

紙オムツには男性用・女性用・男女兼用があり、さらにS~LLとサイズ展開も豊富です。適正サイズを選びましょう。また、「うす型」や「長時間用」などの種類があるので、状況に応じて使い分けられるよう何種類か用意しておくのがおすすめです。

漏れにくいオムツの当て方

紙オムツを付けたときは、サイドのヒダをしっかり立てましょう。横漏れを防ぐ効果が期待できます。また、上で述べたようにオムツは尿取りパッドを重ねて使用しましょう。その際は、男性の場合は前寄りを、女性の場合は後ろ寄りをパッドでガードすると、より効果的に尿を吸収でき、尿漏れのリスクを減らせます。

万が一のために! 便利な防水シーツ

オムツの漏れは、適切なサイズを選んだりパッドと重ねて使ったりすることで、ある程度の予防はできますが、気をつけていても時には尿や便が漏れてしまうトラブルが起こります。布団やマットレスが汚れてしまうと、交換や洗濯が大変ですし、乾かすのにも時間がかかります。
こうした万が一の場合の対策としておすすめしたいのが、介護用の防水シーツです。これは、撥水加工や防水加工が施されたシーツのこと。敷布団やマットレスが汚れてしまうのを防ぎます。家族の負担が大幅に軽くなるうえ、本人も安心して過ごせるなど心理面にも良い作用を及ぼします。
防水シーツには手軽な使い捨てタイプもあります。サッと交換でき、使用済みのシーツは捨てるだけなので手間いらずです。小さめサイズもあるので、おしりの下など重点的にカバーしたい場所に敷いたり、車イスの座面に敷いたりと使い勝手がよく、外出時や旅行先でも重宝します。

「におい」の問題の解消法

使用済みオムツのにおいも、在宅介護の悩みのひとつです。よくある対策として、「新聞紙に包んでからビニール袋に入れる」「蓋つきのゴミ箱に入れる」「消臭スプレーを使用する」などを実践している方も多いと思います。ですが、このような対策をしても夏場などはどうしてもにおいが発生しやすく、困っている方も多いのではないでしょうか。

そこでおすすめなのが、「防臭ビニール袋」です。通常のビニール袋より多少値は張りますが、防臭効果に非常にすぐれているので、ゴミの日まで部屋に置いていても不快なにおいを発しません。

においの問題は本人や家族にとっては非常に深刻なので、こうしたグッズでにおいの発生を防ぎましょう。

オムツ交換の負担やストレスを減らす方法

排泄介助に対して精神的・肉体的負担が大きい場合は、ひとりで抱え込まずケアマネジャーに相談しましょう。介護保険の訪問介護サービスを利用すれば、1日2回など回数を決めてヘルパーにオムツ交換を頼むことができます。

筆者は訪問介護のヘルパーとして長く現場で働いていましたが、朝のオムツ交換を依頼されるお宅は非常に多くありました。
たいていは朝8時に訪問し、オムツ交換と陰部洗浄・清拭、歯みがき、着替え、整容、そして朝食の食事介助までを1時間で行うのが通常の流れでした。

オムツ交換から身支度、朝食の介助までをヘルパーに任せることができれば、ご家族の負担も減り、その時間をほかのことに有効活用できることでしょう。親や配偶者の介護に悩み、「自分には手に負えない」と思ったら、プロの手を借りることもぜひ検討してみてください。

まとめ

オムツ交換の悩みの多くは、対策法を知ることで解消できます。ただし、毎日のオムツ交換が大きなストレスになっている場合は、早めにケアマネジャーに相談しましょう。介護の悩みをひとりで抱え込んでしまうと、介護者自身が健康を害してしまう恐れがあります。

在宅介護の負担を軽減するために、プロと相談してよりよい方法を考えていきましょう。

監修

渡辺 有美

介護やマネー関連が専門のフリーライター。

独身時代は都市銀行に勤務し、その後、結婚と子育てを経て介護の道へ。介護福祉士としてデイサービス・特養・訪問介護の現場で10年以上働いた経験を活かし、高齢者の方々の役に立つ記事を多数執筆しています。