70代の親に最適な働き方は? 生涯現役を目指す仕事探しのポイントを紹介

夫婦のこれから

高齢者の就労は、老後の生活費を補うためだけでなく、体力維持、社会貢献、生きがいといった面からも非常におすすめです。張り合いのある人生を送るためにも、ぜひ前向きに仕事探しに取り組んでみてはいかがでしょうか。

【監修】渡辺 有美

高齢の親の暮らしぶりは、子どもにとっても気になるものです。貯蓄が少ない、収入が年金のみなど、親の老後の生活にゆとりがないと、子どもとしても心穏やかではいられません。老後の家計に余裕がない場合は、働いて収入を増やすことを考える必要があります。

今回のテーマは、「高齢者の仕事探し」。
主に70代の親御さんを持つ子世代の方に向けて、「70代におすすめの職業」「高齢者の仕事探しのポイントと注意点」をお伝えします。親御さんの仕事探しに、ぜひ役立てていただければと思います。

70代の就業状況は?

70代では、どのくらいの人が仕事に就き、どのような形で働いているのでしょうか。
内閣府のデータによると、労働力人口6,830万人のうち70歳以上の人は425万人で、働いている人全体の約6.2%にあたります。(※1)
この数字は年々増加傾向にあり、「人生100年時代」「生涯現役」が叫ばれる昨今、働く70代は今後もますます増えていくことが予想されます。

一方、70代の雇用形態はどうなっているのでしょう。こちらは65歳以上の高齢者を対象にした調査ですが、役員や自営業の人を除いた一般的な雇用者のうち、正規雇用が23.7%、パートやアルバイト、契約社員、嘱託などの非正規雇用が76.3%と、おおよそ4人に3人が非正規として働いていることがわかります。

総務省統計局「高齢者の就業」図10を基に作図

70代の経済状況――平均給与はどのくらい?

国税庁の調査(※2)によると、70代の給与は男性の平均が382万円、女性の平均が206万円、男女の平均が306万円となっています。ただ、このデータには企業の役員や自営業の人も含まれているため、一般的な高齢雇用者ではもう少し金額が下がると考えてよいでしょう。

なお、70代の方の経済状況としては、下記のデータが参考になります。

内閣府が行った、高齢者の暮らし向きについて尋ねたアンケート(※3)を参照すると、70代では、「おおむね家計の不安を抱えていない人」7割、「家計にゆとりがなく心配と答えた人」3割に大別できます。ただ、高齢者自身は働くことに前向きであることを示すデータがあり、報酬うんぬんよりも、仕事に就くこと自体に大きな意義を感じていることがうかがえます。

内閣府「高齢期の暮らしの動向」 P25の情報を基に作図

働いて収入を得ることは、社会のなかで現役であり続けることを意味します。それは高齢者にとって、精神的にも肉体的にも非常に有意義なことだといえます。とはいえ、70代は心身の老化が表面化してくる年代でもあり、仕事の内容や働き方には十分に留意しなければなりません。

要チェック! 高齢者が多い職種

ここからは、70代にはどのような仕事が向いているのか、また、どのような点に気を付けて職探しをすればよいのか、具体的にお話ししていきます。

職探しで重要なことは、長く続けられる仕事かどうかです。どんなにお給料のよい仕事でも、からだがキツかったり職場の雰囲気が合わなかったりしてすぐにやめてしまっては意味がありません。まずは、「同じ年代の人が多く働いている仕事」に目を向けてみましょう。なぜなら、高齢者が多いところは、シニア歓迎の職場である、仕事内容や環境が高齢者に適しているなど、比較的働きやすいことが考えられるからです。

「やりたいことがある」「すでに職種を決めている」という方は別ですが、まだどのような仕事がしたいのか具体的に決まっていない方は、「高齢者が多く働いている」という基準で仕事探しを始めてみるのもひとつの手段でしょう。総務省の2018年のデータによると、「高齢者の就業の多い職種」「高齢者の占める割合の多い産業」は、それぞれ以下のとおりです。

順位

高齢者の就業の多い職種

高齢者の占める割合の多い産業

1位

卸売業・小売業(127万人)

農業・林業(51.0%)

2位

農業・林業(107万人)

不動産業・物品賃貸業(25.4%)

3位

サービス業(98万人)

サービス業(22.0%)

4位

製造業(94万人)

生活関連サービス業・娯楽業(18.2%)

5位

医療・福祉(80万人)

建設業(15.5%)

総務省統計局「高齢者の就業」の情報を基に作表

70代の仕事探し。4つのポイント

70代の方が仕事を探す際に、押さえておきたい大切なポイントを4つご紹介します。

1.資格や経験を生かせるか

技術職や資格職を長年経験してきた方なら、まずはそのスキルを活かせる職種から探してみるのがおすすめです。まったく畑違いの仕事で一から経験を積むよりも、ずっと有利に働くことができるでしょう。もし未経験の仕事であれば、職場でどのような指導をしているのか、研修の有無などを確認しておきましょう。

2.職場までの距離や時間

70代のからだには、通勤も少なからず負担になるため、なるべく自宅から距離が近く、通勤時間のかからない職場を選ぶのがポイントです。また安全面からも、通勤は徒歩または電車やバスなどの公共交通機関を利用しましょう。

3.からだへの負担度

働く目的はもちろん収入を得るためですが、70代の方は収入よりもからだのことを第一に考えて職探しをすることが大事です。高齢者にとって、連日の長時間勤務は相当ハードです。健康的な生活を送るには、疲労を溜め込まないようフルタイムではなくパートタイムで働くのが賢明でしょう。ただ、デスクワークや軽作業など体力をあまり必要としない仕事であればフルタイム勤務を考える余地はあるかもしれません。からだとよく相談し、くれぐれも無理のない働き方を選択しましょう。

4.職場環境

仕事を始めると、生活の多くの部分を職場で過ごすことになります。そのため、「自分が心地よく働ける環境かどうか」は重視したいポイントです。前述のように、高齢者には同世代が多く働いている職場がおすすめといえます。若い人ばかりの職場だと、仕事のスピードに着いていけなかったり、職場に溶け込めず居心地の悪い思いをしたりすることがあるかもしれません。
一方、シルバー世代が多い職場では、「高齢者が働きやすい環境が整っている」「仲間づくりができる」などのメリットもあり、よりストレスの少ない環境で働ける可能性が高いでしょう。職場の年齢層は、事前に必ずチェックすることをおすすめします。

70代の仕事探しにおける注意点

ここでは、70代の仕事探しにおいてリスクを避けるための注意点をお伝えします。

通勤

通勤に車やバイクを利用するのは避けましょう。自分では気づかなくても、判断力などの認知機能は年齢とともに衰え、事故を起こすリスクも高まります。
70代は運転免許の返納を考えはじめる時期でもあり、安全のためにもバスや電車、徒歩での通勤がベストだといえるでしょう。

重労働や危険な仕事は避ける

長時間立ちっぱなしや重い物を運ぶような重労働は、からだへの負担を考えるとあまりおすすめできません。また、工場や建設業などで危険な道具を扱う業務は、ケガのリスクも高く70代の方には不向きです。からだを酷使する仕事や危険をともなう仕事は避けましょう。

条件の良過ぎる仕事には要注意

未経験者OKなのに給料が相場よりも高い、「〇〇するだけ」などの言葉が並んでいる。そんな求人情報には、十分注意しましょう。待遇の良過ぎる求人には、思わぬ落とし穴があるかもしれません。募集要項をくまなく読む、会社について調べるなど、本当に信頼できる会社かどうか入念にチェックしましょう。

70代でも働ける仕事の探し方

高齢者の就労が増えるにつれ、さまざまな場所でシニア向けの求人を探しやすくなりました。70代の方が仕事を見つけるおすすめの方法と、それぞれの特長をご紹介します。

ハローワークを利用する

国が運営している「ハローワーク」は、世代にかかわらず仕事探しの王道です。どのような求人があるのか、お住いの地区のハローワークでリサーチしてみましょう。

【ハローワークを利用するメリット】

  • 国が運営しており誰でも利用できる
  • 地元の求人が多い
  • 職業訓練などのサポート体制が充実している
  • 職員と相談しながら仕事探しができる

「シルバー人材センター」に登録する

自分の都合に合わせて働きたい高齢者には、地域のシルバー人材センターもおすすめです。シニア層の「社会参加」や「生きがい」を目的としており、仕事は高齢者向けの軽作業がメインとなっています。
知識や経験を活かせる仕事が見つけやすく、短時間で終わる仕事が多いうえに、周りはみな同世代なのであまり気負うことなく働ける点が魅力です。

【シルバー人材センターのメリット】

  • 地域に特化しているので地元で働ける
  • 高齢者でも無理なく働ける仕事内容
  • 自分の都合に合わせて仕事ができる
  • スキルを活かせる

インターネットで探す

インターネットにもシニア向けの求人サイトが多数あり、パソコンやスマートフォンで希望のエリアや職種から手軽に仕事を探すことができます。わざわざ足を運ばなくても、家にいながら職探しができる点が便利です。

【インターネットの求人サイトを利用するメリット】

  • 24時間いつでもどこでも仕事探しができる
  • 希望にマッチした求人を素早くリサーチできる
  • とりあえずの情報収集にも便利

まとめ

高齢者の就労は、老後の生活費を補うためだけでなく、体力維持、社会貢献、生きがいといった面からも非常におすすめです。収入によって安心を得るのはもちろん、張り合いのある人生を送るためにも、ぜひ前向きに仕事探しに取り組んでみてはいかがでしょうか。

※1 内閣府「高齢期の暮らしの動向」 P21
https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2019/zenbun/pdf/1s2s_01.pdf

※2 国税庁 長官官房企画課「平成30年分 民間給与実態統計調査」P19
https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan2018/pdf/000.pdf

※3 内閣府「高齢期の暮らしの動向」 P16
https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2019/zenbun/pdf/1s2s_01.pdf

監修

渡辺 有美

介護やマネー関連が専門のフリーライター。

独身時代は都市銀行に勤務し、その後、結婚と子育てを経て介護の道へ。介護福祉士としてデイサービス・特養・訪問介護の現場で10年以上働いた経験を活かし、高齢者の方々の役に立つ記事を多数執筆しています。