糖尿病専門医に聞いた!知っておきたい体と食事のこと

カロリーも塩分も気になる!外食との上手な付き合い方

身体のこれから

脂質、塩分、炭水化物が多い外食メニューではご自身の健康のために腹八分目を目指してみましょう。「ご飯を少なめに」「小鉢を一品野菜のものに」とお店の方にお願いしてみるのもひとつの方法です。また、数あるメニューの中から、栄養バランスの良いものを選ぶのもおすすめです。

【監修】鈴木吉彦医学博士

子育てや会社勤めが終わり、自分のために使える時間が増えてからは、夫婦やご友人と一緒にレストランで美味しいご馳走を囲むのが楽しみになったという方が多いです。「今週末は友人とランチ会だから、平日はダイエットしなくちゃ」などと考えて、週単位でのカロリー調整をしようとする人もいるほど。しかし、無理な食事制限は食生活の乱れにつながるためおすすめできません。そのような方法をとらなくても、外食を楽しむことができると良いですよね。
今回は、糖尿病専門医の鈴木吉彦先生に、外食との上手な付き合い方を教えてもらいました。

1日トータルで栄養バランスのよい食事を摂る

外食はカロリーが高いからといって、単純にそのほかの食事の量を減らすとビタミンやミネラルなどが不足しがちになるため、かえって健康をそこないかねません。栄養バランスの良い食事とは、三大栄養素(タンパク質・脂質・炭水化物)の摂取比率が適正であると同時に、ビタミン・ミネラルが必要量摂れる食事です。
そこでおすすめしたい食事の方法が2つあります。それは、外食メニューの食事量を上手に減らすことと、足りない栄養素をほかの食事で補うことです。外食で過剰になりやすいのは、脂質と塩分。足りなくなりやすいのはビタミン、ミネラル、食物繊維です。
それでは、栄養素ごとに順番にみていきましょう。

外食では脂質の摂りすぎに注意

揚げ物、肉料理、麺類など、外食には脂質を多く含むご馳走メニューがたくさんあります。年齢を重ねても脂っこいものがお好きな元気な方は多くいらっしゃいます。美味しいものをお腹いっぱい食べるのは幸せですが、脂質はタンパク質や炭水化物に比べて約2倍のエネルギーを持つので、脂質の多いメニューでお腹いっぱいまで食べてしまうのはNGです。摂りすぎが体脂肪の増加につながることはいうまでもありません。日本人の平均的な脂質の摂取量は近年増加の一途をたどり、現状「摂りすぎ」の傾向になっています。1日の脂質摂取目標値は年齢や体型によっても変わりますが、おおむね総エネルギー摂取量の20%以上、30%未満です。(農林水産省:脂質による健康影響
まずは、脂質を多く含む食品を食べ過ぎないように気をつけましょう。
脂質の種類についても注意が必要です。植物性脂肪と動物性脂肪のどちらかに偏るのはよくありません。動物性油脂よりも植物性油脂の方がヘルシーと思われがちなのですが、そうとはいえません。肉類やチョコレートに多く含まれる飽和脂肪酸は過剰摂取すると心疾患、糖尿病などの原因となる可能性がありますが、摂取量を極度に減らすとほかの病気の原因をひきおこすと示唆されています。ただし、これについては数多くの食品をまんべんなく摂ることを心がければ、まず問題ありません。

外食では塩分にも注意

濃い味付けは食欲を増す作用があるため、つい食が進んでしまいます。また、おかずの味付けが濃いと、主食のごはんやパンなどの食べ過ぎにつながりやすいものです。健康な人にすすめられる1日の塩分摂取量は、およそ10g未満とされますので、これを守るように注意しましょう。日本人の50〜70歳以上の塩分摂取量の目安は、男性で8g未満、女性で7g未満とされています。お味噌汁1杯の塩分量はおおよそ1〜1.2g、丼物で3〜4g、焼肉定食は6gほど(もちろんお店によって違いがあります)。もしかすると、外食1回で1日の塩分摂取量を上回ってしまうこともあります。とくに、夜に居酒屋でお酒と一緒に食事を楽しみたい方は、塩辛いメニューを摂りすぎないよう気をつけなければなりません。

ビタミン・ミネラル・食物繊維を補う

ビタミン、ミネラル、食物繊維は、主に野菜に多く含まれています。しかも、野菜だけではなく、すべての食品にもさまざまな割合で含まれています。ですから、数多くの食品をまんべんなくとれば不足する心配はありません。食物繊維は野菜をはじめ、海藻や豆類を摂るようにすれば必要な量がまかなえますが、外食メニューは野菜が不足しがちです。
野菜は1日350g以上摂りたいもの。そこで1食あたり100g以上の野菜が使われているメニューを選ぶか、足りないときは野菜の小鉢を追加するか、ほかの2食で補うようにしてください。丼メニューの場合なら、お漬物が添えられていることが多いですが、1食分の野菜の量としては不足しています。野菜の小鉢を追加するか、その前後の食事で野菜を多めに摂るのが理想です。ただし、品数を増やすということはカロリーも多くなるので、調理方法でカロリー過多にならないように工夫しましょう。

プラス1品にぴったりな惣菜小鉢

きんぴらごぼう

100kcal

ほうれん草のおひたし

15kcal

きゅうりとわかめの酢の物

10kcal

ミニサラダ(ドレッシングなし)

15kcal

さやいんげんの胡麻和え

50kcal

切り干し大根の煮物

50kcal

※野菜の量は50gでの計算です。調味料によってもカロリーの差があります。

外食では食べ過ぎ禁物。腹八分目にとどめてほかの食事でバランスを

脂質、塩分、炭水化物が多い外食メニューではバランスがとりづらいのが事実です。ご自身の健康のために腹八分目を目指してみましょう。せっかくのご馳走を残すことは気がひけるかもしれませんが、「ご飯を少なめに」「小鉢を一品野菜のものに」とお店の方にお願いしてみるのもひとつの方法です。もったいないからといって食べすぎてはいけません。
また、数あるメニューの中から、栄養バランスの良いものを選ぶのもおすすめです。揚げ衣の多い天ぷら定食より、油の量が少ない竜田揚げ定食を選ぶなど、外食をするときは工夫しながら楽しんでください。

監修

鈴木吉彦医学博士

慶応大学医学部卒。元、日本医科大学客員教授。現、HDCアトラスクリニック院長。

糖尿病外来と併行し、自由診療としての肥満治療外来を立ち上げる。