【コロナ対策】感染予防

感染症から家族を守るために! 感染予防対策に取り組もう

身体のこれから

新型コロナウイルスが世界的に流行したことで感染予防対策が注目されましたが、普段から感染症は身近なところにあります。今後、感染予防対策は新しい常識になることが考えられます。これを機に家族で意識を高めていきましょう。

【ライタープロフィール】浅野すずか

新型コロナウイルスによって、感染予防に対する意識が急激に高まっています。それぞれのご家庭でも対策をしていると思いますが、職場や学校など"家庭の外"ではいかがでしょうか。ステイホームもひとつの手段ですが、どうしても外出しなければならないときもあることでしょう。

感染を防ぐためには、ウイルスや細菌がどのようなルートで体内に浸入するのかを理解し、それに合わせた対応が必要になります。
そこで取り入れたいのが、「スタンダードプリコーション(標準予防策)」です。スタンダードプリコーションは、感染予防の基本として病院や介護施設などで実施されています。家族を守るために、感染症について理解を深め、対策を行っていきましょう。

感染症はどのようにして起こるのか

感染症は、ウイルスや細菌が原因ですが、実はこれだけでは起こりません。感染症が成立するためには、「病原体(感染源)」「感染経路」「宿主(今回は人)」の3つの要素が必要です。
つまりは、1.病原体(感染源)の排除、2.感染経路の遮断、3.宿主の抵抗力の向上――を行うことができれば、感染症を防ぐことができます。

厚生労働省 「感染対策の基礎知識|1」の情報を基に作図

なかでも大切なのが「感染経路の遮断」です。その理由は、「病原体の排除」と「宿主の抵抗力の向上」の難しさにあります。

新型コロナウイルスのケースで考えると、「病原体の排除」は完璧にはできません。ウイルスは目に見えないものであり、感染が広がっている状況ではいったん排除しても再び持ち込まれるおそれがあります。

「宿主の抵抗力の向上」も同様です。抵抗力を上げる生活習慣はさまざまありますが、これらを取り入れたからといって確実に感染しないわけではありません。抵抗力は、その人の体質や状況によっても異なります。
また、現在のところ新型コロナウイルスのワクチンは確立されておらず、抵抗力に頼るのは危険です。

以上の理由から、ひとりひとりが実行できる感染予防対策は、「感染経路の遮断」になります。

職場や学校での感染経路とは

いくつか感染経路があるなか、職場や学校で起こり得るのは、「接触感染」「飛沫感染」「空気感染」の3つです。厚生労働省によると、新型コロナウイルスの感染経路は、接触感染と飛沫感染の2つとされています(令和2年7月17日時点)。(※1)
それぞれの感染経路がどのようなものなのか、見ていきましょう。

1.接触感染

感染者が触れた部分にウイルスが付着し、その場所を別の人が触ります。そうすると手にウイルスが付着してしまい、その手で目や鼻などの粘膜を触れることで感染します。リスクが高いのは、ドアノブ、照明のスイッチ、共有スペースのテーブルなど、不特定多数の人が触る場所です。
WHOからは、新型コロナウイルスはプラスチックやステンレスで最大72時間、銅で4時間未満、段ボールで24時間未満生存できるという研究結果が挙がっています。(※2)

2.飛沫感染

感染者の咳やくしゃみによって、つばと一緒にウイルスが出ます。それを吸い込むことで感染するのが、飛沫感染です。厚生労働省によると、閉鎖した空間で多くの人と会話をする環境では、咳やくしゃみがなくても感染が拡大するリスクがあるといわれています。(※1)

政府広報オンライン 「暮らしに役立つ情報 新型インフルエンザの発生に備えて~一人ひとりができる対策を知っておこう」の情報を基に作図

感染予防の基本! スタンダードプリコーションとは?

感染を防ぐためには感染経路の遮断が大切ですが、そのときに欠かせない対策があります。それは、スタンダードプリコーション(標準予防策)です。

スタンダードプリコーションとは、汗をのぞく全ての体液、血液、分泌物、排泄物、傷のある皮膚や粘膜は、感染リスクがあるものとして対策をすることです。感染予防の基本として、病院や介護施設で実施されています。
スタンダードプリコーションのポイントは、感染の有無に関わらず全ての患者さんに適応されることです。

スタンダードプリコーションが有効とされる理由は、2つあります。

1.発症する前から感染予防ができる

目の前の人が感染症かどうか判断するとき、熱や咳などの症状を見ることが多いのではないでしょうか。しかし、感染症は必ずしも症状が出るわけではありません。特に新型コロナウイルスは、無症状でも周囲の人に感染させるリスクがあります。

厚生労働省の診療の手引きによると、感染可能期間は、「発症2日前から発症後7~10日間(積極的疫学調査では隔離されるまで)と考えられている。」と記載されています(※3) もしも「症状がないから感染症ではないだろう」と判断し、対策を何もしていなければ、感染するリスクが高まります。そのため、症状の有無に関わらず、全ての人に適応されるスタンダードプリコーションは有効です。

2.対策を判断する手間が省ける

感染予防には、スタンダードプリコーションの他に「感染経路別予防策」があります。スタンダードプリコーションでは防げない感染症に適応され、スタンダードプリコーションに追加して行われます。

もしも感染経路別予防策のみ行う場合、「空気感染のときはAの予防策」「接触感染のときはBの予防策」と、判断する手間が増えてしまいます。職場や学校での感染予防対策は、誰もが慣れていないので戸惑ってしまい、結果的に十分な対策がとられないケースも考えられます。

筆者は新人看護師時代、さまざまな病気や感染症の患者さんが入院する混合内科病棟に勤務していました。患者さんに合わせた感染予防対策を行ったうえで業務にあたりますが、初めは緊張もあり手間取った経験があります。もちろん、授業や入社後のオリエンテーションで練習しますが、実際にやってみるとスムーズにいかないものです。
医療職でない人が感染予防対策をするとき、筆者と同じような状況に陥ることは十分考えられるでしょう。その点、スタンダードプリコーションであれば、感染経路による違いはないので分かりやすく、戸惑う機会を減らせます。

感染経路を絶つ! 職場や学校でできる感染予防対策

ここからは、具体的な感染予防対策を紹介します。方法はさまざまありますが、ここではスタンダードプリコーションをもとに「感染経路を絶つこと」にしぼってお伝えしていきます。

1.手洗い(もしくはアルコール消毒)

手洗いは、感染予防対策の基本です。原則は石けんと流水での手洗いですが、難しい場合にはアルコール消毒薬で手指を消毒します。特に職場や学校に入る前、食事の前、トイレの後は、忘れずに手を洗うようにしましょう。
以下のように、指の間や手首などもしっかり洗うことが大切です。

首相官邸 「新型コロナウイルス感染症に備えて ~一人ひとりができる対策を知っておこう~」の情報を基に作図

アルコール消毒の場合は、乾いた手に使用する、乾燥するまでまんべんなくすり込むことを意識しましょう。手に水分が残っていると、アルコール濃度が薄まり効果が弱くなってしまいます。また、アルコールは揮発することで消毒効果を発揮するため、しっかり乾かしましょう。

なお、手袋を使用する場合も、注意が必要です。最近では、スーパーや飲食店の店員が手袋で作業する姿を見るようになりました。しかし、手袋は定期的に交換しなければ意味がありません。
自分の手に傷があるときは感染予防になるかもしれませんが、同じものを使い続けると手袋に付着したウイルスを他の場所に広げることになります。
手袋をするのであればこまめに交換する、そうでない場合は手洗い・消毒を心がけましょう。そして、手袋を外したあと、忘れずに手を洗うことも大切です。

2.マスクと咳エチケット

飛沫は、スタンダードプリコーションの対象です。一般的なマスクはウイルスを完全に遮断できませんが、飛沫を防ぐことができます。咳やくしゃみが出るとき、近距離で会話しなければならないときは、マスクの着用をおすすめします。マスクは、できるだけ隙間ができないように鼻と口を覆うようにしましょう。
マスクがないときは、以下のように咳エチケットを徹底します。

首相官邸 「新型コロナウイルス感染症に備えて ~一人ひとりができる対策を知っておこう~」の情報を基に作図

子どもは、年齢によってマスクを嫌がったりきちんと着用できなかったりする場合があります。日本小児科学会は、子どもがマスクを着用できないときには、「保護者が感染予防に努める」「感染した人から2m以上の距離を保つ」「手洗いや消毒を行う」の3点を推奨しています。(※4)

3.人との距離をとる

飛沫感染を防ぐために、人との距離をとることも有効です。政府は、人との間隔を2m程度とるよう勧めています(※5) どうしても難しければ換気を行い、マスクを着用するようにしましょう。また、食事のときは飛沫が飛びやすくなります。はす向かいに座るなど、相手とできるだけ距離をとることが大切です。

4.換気をする

換気をすると、飛沫によって排出されたウイルスを外に出せます。風の流れができるように、2方向の窓を1時間に2回以上、数分間程度全開にしましょう(※6)

5.なるべく顔を触らない

もし手にウイルスが付着しても、粘膜に触れなければ感染のリスクは低くなります。職場や学校では、なるべく顔(特に目、鼻、口)は触らないように気をつけましょう。どうしても気になるときは、触る前に手を洗うようにしましょう。

6.オンラインを活用する

会食や会議では、飛沫感染のリスクが高くなります。なるべく控えるようにし、代用できるのであればオンラインで行いましょう。

7.感染予防アイテムを備蓄する

マスクや手袋、アルコール消毒薬など、感染予防アイテムを家庭で備蓄しておくと安心です。小さいサイズのアルコール消毒薬は持ち運びに便利で、手洗いが難しい場面でも手軽に消毒できます。ただし、使用期限には注意しましょう。

8.家族と話し合い、感染予防の意識を高める

「感染予防が大切」と思っても、何をどこまで気をつけるのかは、ひとりひとりの意識にかかっています。職場や学校など、家庭の外ではなおさらです。
感染症を家庭に持ち込まないためにも、1度家族で感染予防について話し合う機会を設けてみてください。なぜ感染予防が大切なのか、具体的にはどうしたらいいのか、家族で意識を高めることが社会全体の意識につながっていきます。
子どもに対しても、理解力に応じて分かりやすい言葉で伝えましょう。イラストを使いながら話したり、一緒に手を洗いながら注意点を確認したりするのもおすすめです。

まとめ

感染を予防するためには、感染経路の遮断が大切です。ウイルスや細菌は目に見えないので怖いと感じますが、手洗いや換気など基本的なことを実行することで予防できます。

新型コロナウイルスが世界的に流行したことで感染予防対策が注目されましたが、普段から感染症は身近なところにあります。
今後、感染予防対策は新しい常識になることが考えられます。これを機に家族で意識を高めていきましょう。

※1 厚生労働省 「新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け) 新型コロナウイルスについて 問2 新型コロナウイルス感染症にはどのように感染しますか。」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00001.html#Q2-2

※2 WorldHealthOrganization Q&A on coronaviruses(COVID-19)
https://www.who.int/emergencies/diseases/novel-coronavirus-2019/question-and-answers-hub/q-a-detail/q-a-coronaviruses

※3 厚生労働省 「新型コロナウイルス感染症 COVID-19 診療の手引き 第2.1版 6P」
https://www.cb-m.co.jp/wp-content/uploads/ff6ab826cb2df5ab10d70c05ea44922c.pdf

※4 日本小児科学会 「新型コロナウイルス感染症に関するQ&A」
http://www.jpeds.or.jp/modules/activity/index.php?content_id=326

※5 首相官邸 「新型コロナウイルス感染症に備えて ~一人ひとりができる対策を知っておこう~」
https://www.kantei.go.jp/jp/headline/kansensho/coronavirus.html

※6 厚生労働省 「新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について(厚生労働省・経済産業省・消費者庁特設ページ)」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/syoudoku_00001.html

ライタープロフィール

浅野すずか

フリーライター

看護師として病院や介護の現場で勤務後、子育てをきっかけにライターに転身。看護師の経験を活かし、主に医療や介護の分野において根拠に基づいた分かりやすい記事を執筆。