30〜40代で気にしなければならない健康と予防対策

自律神経失調症が女性に多い理由とは? 不調の克服と快適な生活に向けた対策

身体のこれから

自律神経失調症は男女関係なく発症しますが、一般的に女性に多く見られるトラブルとして知られています。「何となく感じる不調」には、必ず原因があります。頭が重い、だるい、疲れやすいなど、日々の忙しさからつい後回しにしがちな症状であっても、からだが発するSOSだと考えてしっかりと向き合うことが大切です。

【ライタープロフィール】遠藤愛

「何となく調子が悪い」「調子のいいときもあるし、病院に行くべきか悩む」。このように、「何となく不調」「日によって体調にムラがある」という状態を経験したことのある方は多いのではないでしょうか。あるいは、病院で検査をしてもはっきりとした原因が見つからない場合、その症状は、自律神経が関係しているかもしれません。

今回は、不調の原因として耳にすることも多い「自律神経失調症」をテーマに、自律神経の乱れによって起こる症状や、その原因、対処法について解説します。

自律神経とは何か?

私たちのからだには、あらゆる情報を脳やからだの各部位に伝えるための神経が無数に張り巡らされています。そのなかでも、循環・呼吸・消化・排泄・体温など人間が生きていくために必要な働きを担っているのが「自律神経」です。

自律神経は人間の生命活動に欠かせない神経で、心臓や肺などの主要臓器をはじめ、血管や胃腸、皮膚など、ほぼ全身に存在します。

自律神経には「交感神経」と「副交感神経」の2種類があり、交感神経は活動によってエネルギーを消費する作用を、副交感神経は安静を保ちエネルギーを貯める作用があります。この2つの神経は互いに相反する作用を持っています。たとえば、運動をすると脈拍や呼吸が速くなり、血圧は上昇します。これは、エネルギーを消費する交感神経が働いている証拠です。一方、休息によって脈拍や呼吸は落ち着き、血圧も平常値に戻ります。これは、安静によってエネルギーを蓄える副交感神経が優位になるためです。

▼自律神経の作用

交感神経が作用

全身の器官

副交感神経が作用

脈拍が速くなる

心臓

脈拍が遅くなる

高くなる

血圧

低くなる

呼吸が速くなる・気管は拡張

肺・気管支

呼吸が遅くなる・気管は収縮

唾液が減る(口が乾く)

唾液腺

唾液が増える(口が潤う)

消化が抑制される

胃腸

消化が促進される

弛緩する(尿をためる)

膀胱

収縮する(尿が出る)

発汗が増える

皮膚

作用なし

散瞳(大きくなる)

瞳孔

縮瞳(小さくなる)

筆者作成

これらの自律神経の働きは、人間の「ホメオスタシス(恒常性)」を保つために欠かせないものです。外部環境の変化やストレスにさらされても、からだが常に一定の状態を保てるのは、自律神経の働きがあってこそ。2つの自律神経が互いに相反する作用を持ち、バランスを取ることで安定した生命活動を維持できるのです。

ところが、外部からのストレスがあまりにも大きすぎたり、ストレス状態が長引いたりすると、自律神経のバランスが崩れ、からだの不調を感じるようになります。この不調をきたした状態が「自律神経失調症」であり、その症状は多様です。

「なんとなくからだがだるい」「よく眠れない」など、検査で異常はなくても主観的な症状がある状態を『不定愁訴』と呼びますが、自律神経のバランスが崩れると、このような不定愁訴がひんぱんに現れるようになります。

女性に「自律神経失調症」「不定愁訴」が多い理由とは?

画像2 / 写真AC 利用規約

仕事や人間関係のストレス、過労による睡眠不足や不規則な食生活など、心身へ過剰な負担がかかると自律神経のバランスが崩れ、SOSを発するようになります。この状態が自律神経失調症の症状であり、「不定愁訴」と呼ばれるものです。

自律神経失調症は男女関係なく発症しますが、一般的に女性に多く見られるトラブルとして知られています。女性の場合、心身のストレス、生活習慣といった要因以外にも、月経・妊娠・出産・閉経など女性ホルモンの影響を受けやすく、自律神経のバランスを崩しやすいことが関係しています。

ホルモンバランスを司る場所と自律神経の源は、ともに脳の視床下部と呼ばれる部位です。
司令を出す場所が同じであるため、ホルモンバランスが乱れると自律神経も乱れる、逆もまた然り、という具合に、ホルモンバランスと自律神経は互いに影響を受ける存在なのです。

閉経前後に見られる更年期障害では、ほてり・めまい・動悸・肩こりなどの不定愁訴が多く見られますが、これらは典型的な自律神経失調の症状でもあります。
暑くないのに汗をかく、運動をしていないのに脈が速くなるなど、更年期特有の症状が見られるのは、ホルモンバランスの変化によって交感神経・副交感神経のバランスが崩れてしまうことが原因です。

男性にも更年期障害があり、仕事のストレスなども重なって自律神経失調症を引き起こす可能性はあります。しかし、月経や妊娠・出産などホルモンバランスの影響を受けやすい女性のほうが、自律神経失調症になるリスクは高いと言えるでしょう。

自律神経失調症の主な症状と対処法

全身に張り巡らされている自律神経に変調をきたすと、実に多様な症状(不定愁訴)が現れます。症状の現れる部位や感じ方、程度や頻度は人それぞれです。代表的な症状を下図にまとめました。

▼自律神経失調症・不定愁訴の主な症状

症状が現れる部位

自律神経失調症状・不定愁訴

目・瞳孔

瞳孔が収縮したり開いたりする異常

眼瞼下垂(まぶたが重く垂れる)

心臓

立ちくらみ、脈拍の異常(脈が速い・遅い・不整脈)

呼吸

息切れ、睡眠時呼吸障害

胃腸

吐き気、胃もたれ、便秘、下痢

膀胱

トイレが近い、尿が出にくい、残尿感

生殖器

生理不順、勃起障害

皮膚・汗腺

ほてり、発汗が増える(あるいは減る)、肌荒れ

筆者作成

ほかにも、肩こり・冷え・イライラ感・不眠など症状は多岐にわたります。
自律神経の乱れによる不定愁訴は、極めて主観的な症状であるため他人に理解されにくく、検査ではっきりとした原因を突き止めるのも困難です。病院を受診しても検査で異常が認められなければ診断をつけにくい面もあり、対症療法として脈拍や血圧を調整する薬や、気分を落ち着かせる薬などが処方され、「しばらく様子を見ましょう」と言われることがほとんどだと思います。

では、自律神経失調症は治らないのかというと、決してそんなことはありません。自律神経失調症の主な原因は、ストレスや不規則な生活、そしてホルモンバランスの変調です。これらの原因をなるべく取り除くことが、自律神経失調症の基本的な解決策となります。

生活リズムを整える

人間のからだには、早朝から昼にかけて交感神経が活発になり、夕方から深夜にかけては副交感神経が優位になる自然のリズムがあります。「明るくなったら活動して、暗くなったら休む」という人間本来の生活リズムは、自律神経のコントロールによるものです。ところが、食事や睡眠の時間が不規則になり、昼夜の区別がはっきりしないような生活を送っていると、自律神経のリズムも乱れてきます。
自律神経のバランスを整えるためには、「毎日決まった時間に起床・就寝する」「食事は三食しっかりとる」といった基本的な生活習慣の改善から始めましょう。

ストレスを解消する

ストレスを解消するためにもっとも簡単で効果的な方法は「休息」です。ゆっくりと過ごす時間を持ち、質の良い睡眠をとることは何よりのストレス解消となります。ほかにも、散歩やストレッチ、入浴、カラオケなど、ご自身がリラックスできる方法で日頃のストレスを発散させましょう。

考えすぎない

自律神経はストレスの影響を強く受けます。自律神経研究の第一人者である小林弘幸医師は、自著のなかで以下のように解説されています。

「休むということを考えるときには、毎日の生活の中に(中略)「ケロリ」をつくりだすかが大事になってくるのです」

小林裕幸『自律神経が整えば休まなくても絶好調』,KKベストセラーズ,2017,p.22-23.

この「ケロリ」とは、失敗をしても解決策を見つけて次に行く、嫌なことがあってもさっさと忘れること。つまり、ストレスを溜めずに生きていくコツと言えるでしょう。

ほかにも症状に応じた薬物療法や、ホルモンバランスの変調に対するホルモン療法などがあります。症状が改善するまで時間がかかることもありますが、焦らずに治療を続けることが大切です。

からだが発するSOSに気付き、健康的な生活を送りましょう

「何となく感じる不調」には、必ず原因があります。頭が重い、だるい、疲れやすいなど、日々の忙しさからつい後回しにしがちな症状であっても、からだが発するSOSだと考えてしっかりと向き合うことが大切です。

「ストレスは万病のもと」と言いますが、ストレスによる自律神経の乱れを放置しておいても、からだにとって何ひとつ良いことはありません。特に女性の場合、ホルモンバランスと自律神経は互いに影響を及ぼすため注意が必要です。

まずは規則的な生活、ストレスを溜めない生活を基本に、心身の不調を感じたら早めに医療機関に相談することが大切です。まれに、「自律神経の乱れによる不調だと思っていたら、別の病気が見つかった」ということもあります。決して自己判断をせず、専門家の意見を聞くようにしましょう。
何科を受診すべきかわからない方は、まずは神経内科に相談されることをおすすめします。

からだが発するSOSに早めに対処し、健康的な生活を送りましょう。

ライタープロフィール

遠藤愛

看護師として約13年間病院勤務。外科・内科病棟、地域連携室、介護老人保健施設、訪問看護に従事。現在は看護師の知識と経験を活かし、ライターとして活動中。