糖尿病専門医に聞いた!知っておきたい体と食事のこと

40代以上は自力でのダイエットが難しくなる理由

身体のこれから

40歳を過ぎると、基礎代謝量が減ってきて自力でダイエットをすることはだんだん難しくなります。バランスのとれた食事と運動を毎日続けることが、地道なように見えて一番の近道なのです。元気なシニアライフを送るためにも、まずは毎日の食事や運動量を見直してみましょう。

【監修】鈴木吉彦医学博士

年齢を重ねると、体型も体調も少しずつ変化が現れてきます。「体重は変わっていないのに、なんだか脂肪が増えた気がする」という方もいるのではないでしょうか。

「40歳を過ぎると、自力でダイエットをすることはだんだん難しくなります」と話すのは、糖尿病専門医であるHDCアトラスクリニック院長の鈴木吉彦先生です。今回は鈴木先生に、40代以上で痩せにくくなる理由などについて伺いました。

地方にいるほど痩せにくい?

40代以降、基礎代謝量が減ってきて痩せにくくなることは、すでに多くの方がご存知だと思います。その傾向は、実は地方へいくほど強まると考えられています。

地方といえば、自然が多くて住民は長距離を毎日歩いているイメージを持つかもしれません。実はそうではなく、車社会のため、ちょっとした移動でも車に乗ってしまう習慣があるのです。一方、都会は車を持っている人が少なく、電車やバスなど公共交通機関を使って移動します。街中ではあちこち歩き回っていることも多いです。地方の人と都会の人とを比べると、都会の人の方が毎日の歩数は多く、活動量という面では健康的と言えます。

実際に、厚生労働省が行った調査の結果を見てみると、全国で最も肥満率が高いのは沖縄県でした。さらに、1日あたりの歩数の平均値を見てみると、沖縄県は男性で38位、女性で39位でした。肥満にはほかの要素も関係するため、歩数だけでは一概に言うことが難しい面もありますが、歩数が少ない地方は肥満率が高くなる傾向にあるということは言えそうです。

40代以降で現れる基礎代謝量の低下をできるだけ緩やかにするためには、定期的な運動をして筋力を維持することが大事です。運動が習慣化すれば活動量も増え、1日の消費エネルギーも増やすことができます。毎日歩く習慣があれば良いのですが、車移動に慣れてしまうと運動習慣がつきにくく、運動不足になりやすいのです。

40代から糖尿病も増え始める

40代以降、徐々に生活習慣病などを発症する人が増えていきます。糖尿病もその一つで、40代くらいから糖尿病の人や糖尿病と疑われる人の割合は増加傾向にあります。基礎代謝が下がり、太りやすくなることも原因の一つかもしれません。

糖尿病の患者数(病院を受診している人)について見てみると、肥満率ワーストだった沖縄県は、かなり少ない数字となっています。糖尿病で死亡する人の数も、もちろんそこまで多くはありません。

発症には肥満以外にもリスクがあるので、一概には言えませんが、肥満ではないからといって、絶対に糖尿病にならないということはありません。肥満はもちろん、糖尿病にもならないように、健康的な生活をすることが望まれます。

周囲からの視線が気にならなくなる

40歳を過ぎてから太りやすくなる原因の一つに、年齢を重ねるごとに他人の視線を気にしない人が増えてくるということもあるかもしれません。これは、ある程度年齢を重ねて、仕事やプライベートでもさまざまな経験を重ねて、自分らしく生きられるようになった結果なのでしょう。

ただ、他人の視線が気にならなくなった結果、自分の見た目にも気を使わなくなる人もいます。どんな体型でも気にしない、たくさん食べるのも私の自由、と過ごすようになった結果、太り始めてしまう人がいるのではないかと感じます。

若い頃は、同級生や異性によく見られたいと、ダイエットもファッションも気にしていた人が多かったのではないでしょうか。その努力があったからこそ、太らずにいられたのかもしれません。他人の視線を気にせず生きることは、素敵なことです。ただ、自分の健康のためには、少しだけ意識しても良いのではないでしょうか。

サプリメントや薬に頼ってもいいの?

巷には、痩せる効果を暗にうたったサプリメントが多く販売されています。脂肪や糖の吸収を抑えるとか、排泄物がたくさん出るとかいろいろな種類があって、買おうか迷った方も多いのではないでしょうか。もしかしたら、買って飲んでいるという方もいるかもしれませんね。皆さんは、そういったサプリメントに、頼っても良いと思われますか?

結論から言えば、サプリメントの効果はほぼありません。薬のようにはっきりと効果を検証して承認されているわけではないので、気休め程度にしかならないのが現実です。サプリメントで痩せたという人を私は見たことがありません。

では、ダイエットで不足する栄養素を補給するために、ビタミンやミネラルのサプリメントを摂るのは良いのではないか、という意見もあるかもしれません。もっともなように見えるかもしれませんが、実はこれも不要です。必要な栄養素は、最低1200kcalの食事を普通にとっていれば補えます。ダイエットのためにバランスのとれた食事を心がけていれば、余分な栄養素は取る必要がないのです。

それでは、薬で治療をすることはできないのか、と考える方もいるでしょう。実際に肥満治療を行っているクリニックなどはあり、できないことはありません。ただ、きちんとガイドラインに沿って行っているかをきちんと確認する必要があります。近年話題になっているGLP1ダイエットも、多くのクリニックで行われるようになりました。

ただ、海外では肥満治療薬として承認されているものの、日本ではまだ糖尿病治療薬としてしか認められていません。そのクリニックでどのような治療が行われているのか、価格は高すぎないかなどをきちんとみてから治療を受けることが重要です。

健康への近道は毎日の食事と運動です

年齢を重ねると太りやすくなったり、病気にかかりやすくなったりします。加齢による影響はなくすことはできませんが、心がけ次第で小さくすることは可能です。ご自分の年齢とこれから起こる、すでに起こっている体の変化を受け入れて、毎日の生活習慣を整えましょう。

飲めば簡単に痩せられたり、病気が予防できたりするサプリメントなどの健康食品はありません。バランスのとれた食事と運動を毎日続けることが、地道なように見えて一番の近道なのです。元気なシニアライフを送るためにも、まずは毎日の食事や運動量を見直してみましょう。

監修

鈴木吉彦医学博士

慶応大学医学部卒。元、日本医科大学客員教授。現、HDCアトラスクリニック院長。

糖尿病外来と併行し、自由診療としての肥満治療外来を立ち上げる。