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花粉症は市販薬でおさえられる? 市販薬を上手に利用するコツを解説

身体のこれから

花粉症は、花粉が原因で生じるアレルギー症状です。多岐にわたる花粉症の症状をおさえるには、点鼻薬や点眼薬よりも飲み薬がおすすめです。しかし1週間ほど市販薬を使用しても効果が実感できない場合や、鼻や目の症状が悪化する場合は、花粉症以外の病気である可能性も視野に入れて医療機関を受診しましょう。

【執筆者】中西 真理

花粉症は、花粉が原因で生じるアレルギー症状です。花粉症はだれもがかかる可能性のある病気で、現在症状のない人でも、将来花粉症になることは十分考えられます。

花粉症の症状は、くしゃみや鼻水、鼻づまり、目のかゆみや充血などが主なものです。しかし、症状が重くなると「仕事や勉強がはかどらない」「家事が手につかない」など、日常生活に支障が生じることもあります。

ノバルティス ファーマ株式会社「全国47都道府県"花粉症重症度調査(2020年1月17日)」の情報を基に筆者作図

もちろん、医療機関を受診すれば、花粉症の症状をやわらげる薬を処方してもらえます。しかし、通院の手間やほかの感染症に感染するリスクなどを理由に、受診をためらう人も少なくありません。

そこで今回は、「花粉症の症状を市販薬でおさえたい」という方のために、市販薬の選び方や花粉症の症状をおさえるコツをご紹介します。

花粉症の市販薬を選ぶときのコツ

多岐にわたる花粉症の症状をおさえるには、点鼻薬や点眼薬よりも飲み薬がおすすめです。飲み薬を服用しても鼻や目の症状がつらい場合は、点鼻薬や点眼薬を追加で使うようにしましょう。
なお、薬の効き方や副作用の現れかたには個人差があります。花粉症の症状は数カ月続くこともあるので包装単位の大きなものを購入してしまいがちですが、初回は可能な限り小包装を購入し、効果が実感できて副作用なども気にならないことを確認してから、包装単位の大きなものを購入するのがおすすめです。

医療機関で飲み薬を処方されたことがある場合

医療機関で治療薬を処方されたことのある人は、お薬手帳など過去の記録を販売店の薬剤師などに見せると、同じようなタイプの薬を紹介してもらえます。最近は、花粉症治療薬のスイッチOTC(医療用医薬品から市販薬に転換(スイッチ)された医薬品)も多く販売されているので、医療機関で処方されたものと同成分の薬を入手できることもあります。
ただし、医療用医薬品と商品名が似ていても、有効成分が異なる市販薬もあります。ブランド名だけではなく、成分まで確認してから購入するようにしましょう。

医療機関で飲み薬を処方されたことがない場合

医療機関で花粉症治療薬を処方されたことがない場合は、症状だけではなく、「服用回数」「服用したいタイミング」「眠気の出やすさ」などに注意して、薬を選ぶとよいでしょう。
効能効果や用法などは、外箱の記載から確認できます。しかし、眠気の出やすさなどは外箱の記載だけではわからない場合も少なくありません。
花粉症治療薬の多くは眠気の副作用がありますが、強さや出やすさは成分により異なります。副作用が気になる場合は、薬剤師や登録販売者に相談するようにしましょう。

点鼻薬の選び方

市販の点鼻薬は、続けて使用することで効果が出るもの、即効性はあるものの使いすぎるとかえって症状が悪化するおそれのあるものなどさまざまです。
続けて使用することで効果が出るタイプは、即効性はあまり期待できませんが、花粉症の症状が軽いうちから使い始めることで重症化を防ぐことができます。

一方、飲み薬だけで鼻の症状がおさえられない場合は、即効性のあるタイプを追加で使用するのもひとつの方法です。しかし、使いすぎるとかえって鼻づまりがひどくなることがあります。使用量を守り、数日間使っても症状が改善しない場合は、できるだけ医療機関を受診するようにしましょう。

点眼薬の選び方

目薬を希望する場合は、清涼感のあるタイプではなくノーマルタイプの目薬を選ぶようにしましょう。花粉症の時期は、コンタクトレンズの使用を避けて眼鏡を使用するほうが目の負担が少なくなりますが、やむを得ない場合はワンデイタイプのコンタクトレンズや、汚れがつきにくい素材のコンタクトレンズを使用するのが望ましいでしょう。

なお、市販の目薬の多くは、防腐剤を含んでいます。防腐剤はコンタクトレンズに吸着されやすく、目の炎症を悪化させるおそれがあります。そのため、コンタクトレンズを使用している場合は点眼前にレンズを外し、点眼後10分ほど間隔をあけてからレンズを再装着するようにしてください。

防腐剤を含まない点眼薬はそれほど神経質になる必要はありませんが、目に刺激や違和感を覚える場合は薬の使用を中止し、コンタクトレンズを外して早めに眼科医で診察を受けるようにしてください。

▼市販の花粉症治療薬の用法例や注意点など

薬の種類

用法(例)

注意点

内服薬

  • 1日1回食後
  • 1日1回寝る前
  • 1日2回朝夕
  • 1日3回食前または食間 など

眠気の強さ、出やすさは個人差が大きい

目の症状に効果が期待できないものもある

排尿障害・緑内障・心臓の病気など、他の病気がある人には使いづらいものもある

点鼻薬

  • 1日2回最大4回まで
  • 1日4回
  • 1日1~2回、1週間以上使用しない など

使用回数・使用日数の制限を守らないと、かえって症状が悪化することがある

点眼薬

  • 1日4回
  • 1日5~6回 など

コンタクトレンズ装着時に使用できる商品が限られている

市販薬で花粉症をおさえるコツ

市販薬で花粉症をおさえるには、ちょっとしたコツが必要です。

治療は早めに

花粉症の治療は、鼻の粘膜の炎症がひどくなる前に始めましょう。ニュースなどをこまめにチェックし、花粉の飛散予測日が発表されたら、症状が現れていなくても治療をスタートすることをおすすめします。
花粉飛散前にタイミングよく治療を開始すれば、つらい症状を軽減するだけではなく、症状があらわれる時期を遅らせる効果も期待できます。

症状が軽くなっても治療は継続

花粉症治療薬のなかには、毎日使用することで症状をやわらげるものもあります。また、花粉症の症状は、天候や花粉の飛散状況によって大きく変わります。症状が落ち着いているからといって治療を中断してしまうと悪化することもあるので、シーズン中は治療を継続するようにしましょう。

ただし、点鼻薬の中には、使いすぎるとかえって鼻の症状が悪化するものもあります。使用回数や使用日数に制限があるものは、制限を超えて使用しないようにしましょう。

飲み薬+αで症状をコントロール

花粉症の症状が飲み薬だけでおさえられない場合は、点鼻薬や点眼薬を適宜使用して症状をコントロールしましょう。これらは併用しても問題ありませんが、症状があるときだけに使うタイプ、継続使用で症状を抑えるタイプなど、薬によって効果的な使用方法が異なります。
点鼻薬や点眼薬の効果は、使用回数に比例するわけではありません。薬に同梱されている「使用上の注意」をよく読み、用量用法を守って使用しましょう。

▼市販薬で花粉症の症状をおさえるコツと注意点・問題点

花粉症の症状をおさえるコツ

期待できる効果

注意点・問題点など

症状が悪化する前に治療を開始

  • 症状の発現を遅らせることができる
  • 花粉の飛散量が多くても症状が重症化しにくくなる
  • 治療のスタートが遅れると、十分な効果が期待できない
  • 治療のスタート時期を決めるのが難しい

シーズン中は治療を継続

  • 症状の悪化を防ぐことができる
  • 薬で症状が現れないのか、花粉症シーズンが終わって症状がないのかの判断が難しく、治療終了時期が分かりにくい
  • 継続使用してはいけない薬がどれなのか分かりにくい

点鼻薬・点眼薬を使用

  • 飲み薬だけでおさえられない症状を、点鼻薬コントロールできる
  • 症状に合わせて使う薬・継続使用で効果が現れる薬の区別が難しい
  • 休止後、再開までの期間が定められているものもあって、使いづらい

このような場合は医療機関を受診しましょう

1週間ほど市販薬を使用しても効果が実感できない場合や、鼻や目の症状が悪化する場合は、花粉症以外の病気である可能性も視野に入れて医療機関を受診しましょう。症状によっては、市販薬での治療が困難な場合もあります。

ほかの病気を治療中の場合、併用薬がある場合も、医療機関で薬を処方してもらったほうが良いでしょう。市販の花粉症治療薬のなかには、前立腺肥大症や緑内障の方にとっては使いづらいものがあります。また、飲み合わせに注意が必要な薬もあります。お薬手帳などで飲み合わせの確認はできますが、市販薬では対応しきれないケースもあります。かかりつけの医療機関で薬を処方してもらうようにしましょう。

さらに、副作用と思われる症状があらわれた場合は、すぐに薬の使用を中止して医療機関で治療を受ける必要があります。市販薬は、医療用医薬品に比べて健康被害のリスクが低いとされていますが、相互作用や副作用がまったくないわけではありません。体調がいつもと違う場合は、早めに医療機関を受診するようにしましょう。

執筆者

中西 真理

公立大学薬学部卒。薬学修士。

医薬品卸にて一般の方や医療従事者向けの情報作成に従事。その後、調剤薬局に勤務。現在は、フリーライターとして主に病気や薬に関する記事を執筆。