30〜40代で気にしなければならない健康と予防対策

お酒の適量ってどれくらい?! 病気にならないお酒の飲み方と家族の幸せについて

身体のこれから

家族の飲酒量が心配な人、健康を維持しながらお酒を楽しむために、飲酒がからだに与える影響、節度ある飲酒の仕方、そして飲酒量を抑えるために家族ができることは何かを考えましょう。健康を維持するためには飲酒量や方法を見直すことが大切です。

【ライタープロフィール】浅野すずか

仕事が一段落したときのごほうびに、友人と語り合うときのお供に、とお酒が生活に欠かせない人もいると思います。

「酒は百薬の長」ということわざがある一方で、さまざまな病気の原因になるともいわれています。

家族の飲酒量が増えてくると、病気になるのではないかと心配になりますよね。しかし、お酒が好きな人にとって、量や回数を減らすことは簡単ではありません。
飲み過ぎることで、私たちのからだにはどのような影響があるのでしょうか? また、健康的にお酒を楽しむ方法はあるのでしょうか?

そこで今回は、飲酒がからだに与える影響、飲酒と酔いの関係をはじめ、飲酒が原因となりうる病気、節度ある飲酒の仕方、そして飲酒量を抑えるために家族ができることについてまとめました。

家族の飲酒量が心配な人、健康を維持しながらお酒を楽しむ方法を知りたい人の参考になれば幸いです。

飲酒がからだに悪いのはなぜ? からだに与える影響とは

からだに入ったお酒の多くは、肝臓で代謝され、血流にのって全身を巡ります。最終的には、水と炭酸ガスになり、からだの外へ排出されます。

厚生労働省 「e-ヘルスネット [情報提供] アルコールの吸収と分解」の情報を基に作図

内臓にそれぞれどのような影響があるのか、具体的に見ていきましょう。

肝臓への影響

肝臓にはアルコールを代謝する役割があるため、お酒を飲み過ぎると負担がかかります。
しかし、肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれるほど、症状が出にくい臓器です。肝臓の細胞には再生能力があり、ダメージを受けても回復するためです。そのため、何らかの症状が出る頃には、病気を発症していることも少なくありません。

循環器への影響

少量の飲酒であれば、HDLコレステロール(善玉コレステロール)の上昇、血液をサラサラにするなどの作用があるといわれています。しかし、長年多くの量を飲み続けていると、高血圧や不整脈などを引き起こします。

睡眠への影響

「寝る前にお酒を飲むとよく眠れる」という話もありますが、実際は逆効果です。寝つきはよくなりますが、睡眠が浅くなり夜中に目が覚める「中途覚醒」が起こりやすくなります。

内分泌系への影響

適度な飲酒は、糖尿病を抑制するといわれています。しかし、お酒には糖質を含むものも多く、飲み過ぎると血糖値の上昇につながります。さらに、膵臓にダメージが加わり、血糖値を下げるホルモン「インスリン」の分泌が低下することで、糖尿病を発症しやすくなります。また、男女ともに性ホルモンの分泌障害がおき、生殖器系の働きに影響をあたえます。

酔わなければ大丈夫? 飲酒と酔いの関係

たくさんお酒を飲んでも、顔色ひとつ変わらず平常通りの人もいます。このような「お酒に強い人」は、いくら飲んでも大丈夫なのでしょうか?
実は、お酒に強い人ほど病気になるリスクが高くなります。お酒を飲むと酔うのは、アルコールが脳の神経を麻痺させるためです。そして、酔いやすいか酔いにくいかは、以下の3点が関係しています。

1.肝臓の大きさ

肝臓が大きいほうが、アルコールを分解する速度が早くなります。一般的に女性より男性のほうが、肝臓が大きいといわれています。

2.2型アルデヒド脱水素酵素(ALDH2)の遺伝子タイプ

ALDH2は、有害なアセトアルデヒドを分解する酵素です。この酵素の遺伝子タイプとして、非活性型、低活性型、活性型があります。非活性型は、アルコールの分解が遅いため酔いやすくなります。

3.脳の感受性

お酒を飲み続けることで、アルコールに対する脳の感受性が低くなるので酔いにくくなります。

つまり、酔いやすいか酔いにくいかは、体質や慣れによる部分が大きいのです。そして、冒頭でもお話しましたが、酔わないから大丈夫ではありません。酔わない人ほど、アルコール摂取量が多くなり、「アルコール依存症」にもなりやすいといわれています。

下のグラフは、1日の平均飲酒量(g)と、病気や死亡の相対リスクを表したものです。 1日平均飲酒量0.1~22.9g以下(日本酒1合未満)はリスクが低く、飲酒量が増えるごとにリスクが高くなる傾向が読み取れます。つまり、病気のリスクは「酔うか酔わないか」ではなく、飲んだお酒の量が関係するといえるでしょう。

厚生労働省 「e-ヘルスネット [情報提供] 飲酒とJカーブ」の情報を基に作図

飲酒が原因となりうる病気とは?

飲酒は、からだのさまざまな機能に影響をおよぼすことが分かりました。ここでは、飲酒が原因となる病気のうち、代表的なものを紹介します。

がん

アルコールとアセトアルデヒドには、発がん性があることが分かっています。がんのなかでも、食道がん、咽頭がん、肝臓がんなどのリスクが高くなります。

心筋梗塞

心臓に栄養を送る血管がつまり、心臓の筋肉が壊死する病気です。激しい胸の痛みが特徴で、死に至ることもあります。冒頭で、少量の飲酒は循環器にとってプラスの作用があると書きましたが、多量のお酒を長期間飲むとリスクが上昇します。

くも膜下出血

脳を保護している「くも膜」の内側にある動脈が破裂し、出血する病気です。飲酒は高血圧のリスク要因であり、高血圧によってくも膜下出血がおこりやすくなります。

肝硬変

肝臓の炎症が慢性化すると、肝臓が硬くなり肝硬変を引き起こします。肝臓の機能が低下するため、皮膚が黄色くなる「黄疸」や、お腹に水がたまる「腹水」などの症状がでます。

認知症

多量の飲酒は脳を萎縮させ、その結果、認知症を引き起こします。

下のグラフは、高齢男性における1週間の飲酒量(350mlのビールで換算)と認知症の危険性を表したものです。このグラフをみると、1~6本の飲酒ではリスクが最も低く、その後上昇していることが分かります。

厚生労働省 「e-ヘルスネット [情報提供] アルコールと認知症」の情報を基に作図

アルコール依存症

多量の飲酒を続けることで、アルコールが抜けたときにイライラや手の震えなどの症状がでます。さらに、これまで挙げたようなからだの病気を併発する場合も多くあります。

健康を維持しながら飲みたい! 節度ある飲み方とは?

急に「お酒を減らして」と言われても、お酒が好きな人は難しいと感じるかもしれません。
そこで、できるだけ健康を維持しながらお酒を楽しむポイントをまとめました。

適度な飲酒量を守る

お酒は病気のリスクになりますが、適量であればリスクを最小限に抑えることが分かってきています。厚生労働省が取り組む「健康日本21」では節度ある適度な飲酒量を、純アルコールで1日平均20g程度としています。(※)
下の表の通り、お酒の種類によってアルコール量が異なります。普段飲むお酒にはどのくらいアルコールが含まれているのか確認し、意識してみるとよいでしょう。

お酒の種類

アルコール度数

純アルコール量

ビール(中瓶1本500ml)

5%

20g

清酒(1合180ml)

15%

22g

ウイスキー・ブランデー(ダブル60ml)

43%

20g

焼酎(35度、1合180ml)

35%

50g

ワイン(1杯120ml)

12%

12g

厚生労働省 「健康日本21 アルコール」の情報を基に作表

食べ物と一緒に飲む

胃が空っぽの状態でお酒だけを飲むと、アルコールの吸収率が高まります。血液中のアルコール濃度が急激に上がるのを防ぐため、食べながら飲むようにしましょう。ただし、塩分が高いおつまみは要注意です。

週2日の休肝日を設ける

アルコールを飲み続けると、肝臓への負担が大きくなってしまいます。週2日はお酒を飲まない日を設け、肝臓を休ませましょう。

女性は男性よりも少ない量にとどめる

女性は男性に比べて、アルコールを代謝するスピードが遅く、アルコールの影響を受けやすいといわれています。また、女性が摂取する純アルコール量は1日当たり9gまでが最も死亡率が低いというデータがあります。(※)
「健康日本21」の基準である、純アルコールで1日平均20g程度よりも少ない量でとどめておくと安心です。

入浴前、運動前は飲まない

入浴や運動前の飲酒は、不整脈を引き起こしたり、血圧の変動が大きくなったりするので、控えるようにしましょう。

飲酒量を抑えてもらいたい! 家族はどう接する?

家族に飲酒量を減らしてもらいたい場合にはどのように関わればいいのか、3つのポイントにまとめました。

飲みたい気持ちに寄り添うような声かけにする

「明日からお酒を減らして!」と、一方的に伝えるのは逆効果です。このままでは病気のリスクがあること、適正な飲酒量があることをふまえて、「体調を心配しているからこそ減らしてほしい」と伝えましょう。
また、純アルコール量の少ないお酒に変える、週に1日の休肝日から始めるなど、少しずつでも飲酒量を減らす方法を一緒に考えることも大切です。

健康診断をきっかけに飲酒量を見直す

自覚症状が出ていない段階では、なかなか飲酒量を見直そうとは思わないかもしれません。そこで、数値が目に見える健康診断の結果を利用しましょう。
血圧、肝機能(AST、ALT、γ-GTP)血糖値、中性脂肪、尿酸などの数値は要チェックです。昨年の結果と比較し、飲酒量を見直すきっかけにしましょう。

減酒外来を受診する

一般的に知られている「アルコール外来」は、アルコール依存症が対象で、治療は完全断酒が原則です。一方、「減酒外来」では、アルコール依存症ではないものの、飲酒量を控えたい、健康的な飲み方をしたいという人への治療を行っています。
どうしても飲酒量が減らせない場合は、専門家の力を頼るのもひとつの方法です。

まとめ

多量の飲酒は、心身にさまざまな影響を与えることが分かりました。
お酒は上手に飲むことで人生を豊かにしてくれます。飲酒量を減らすのは大変かもしれませんが、健康を維持するためには飲酒量や方法を見直すことが大切です。まずはできるものから、ひとつずつ取り入れていきましょう。

※厚生労働省 「健康日本21|アルコール」
https://www.mhlw.go.jp/www1/topics/kenko21_11/b5.html#A52

ライタープロフィール

浅野すずか

フリーライター

看護師として病院や介護の現場で勤務後、子育てをきっかけにライターに転身。看護師の経験を活かし、主に医療や介護の分野において根拠に基づいた分かりやすい記事を執筆。